雁行橋(がんこうばし)
雁行橋(がんこうばし)は、旭桜の背後の曲水に掛けられた石の橋です。
11枚の赤戸室石(あかとむろいし)を並べて作られた橋です。
雁行橋を渡って旭桜へ行くことができたのですが、現在は渡ることができません。
渡り行く雁の群れ
雁行橋(がんこうばし)の名前の由来は、V字隊列を組んで飛んで行く雁の群れをかたどって作られた橋だから。
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石の一枚一枚が亀甲模様なので、別名、亀甲橋(きっこうばし)とも呼ばれます。
雁行橋を渡ると長寿になる、と言われていて、たくさんの人が渡ったため、水溜りが出来るほど磨り減ってしまい、現在は渡ることができなくなっています。
渡ることができなくなった雁行橋の代わりに作られた橋が、姫小松と旭桜の間にある白っぽい木の橋です。
この橋に名前はありません。
赤戸室石(あかとむろいし)
戸室石(とむろいし)というのは、戸室山(とむろやま)で採れる石です。
加賀藩が採掘を独占していた門外不出の石で、兼六園や金沢城では、灯篭、橋、石垣などで贅沢に使われています。
赤戸室石と青戸室石があり、赤戸室石は柔らかくて加工しやすいのですが磨り減る、青戸室石は硬くて頑丈ですが加工しにくい、という特徴があります。
虹橋も赤戸室石で作られています。
雁行橋の雁ってどんな鳥?
「雁」と書いて、ガン、とも、カリ、とも、カリガネとも読みます。
カリとカリガネは同じ鳥ですが、ガンはカリやカリガネとは別の鳥です。
カリは、鳴き声がカーンカーンと鐘をたたいたように澄んで美しいので、カリガネ(カリ鐘、カリヶ音)とも呼ばれ、万葉集にもたくさん詠まれています。
カリ(カリガネ)。クチバシは桃色です。
photo by フリー素材無料写真 森の父さん花鳥風穴
ガンはカリガネによく似ていますが鳴き声がアヒルです。グワングワン鳴くからグヮン(ガン)と呼ばれます。
ガンの一種。サカツラガン。クチバシは黒色です。
photo by フリー素材無料写真 森の父さん花鳥風穴
詩や和歌がたくさん詠まれた時代の人達は、カモやガンの種類を鳴き声で区別していました。
カーンカーンと鳴くのはカリ、グワングワン鳴くのはガンでした。
詩や和歌が廃れて読まれることがなくなると、姿が似ていたガンもカリ(カリガネ)も同一視され、「雁」の一字でひとくくりにされてしまったのです。
兼六園の雁行橋は、カリガネ橋とも呼ばれるので飛んで行くカリガネの群れを模したのでしょう。
雁行橋の近くに咲く
橋の近く(旭桜と反対の岸)にあるモコモコしたハート型の葉っぱは、錨草(イカリソウ)。
白い小さな花は舟の錨(いかり)の形をしています。種類は、雪に埋もれても枯れないトキワイカリソウ。