兼六園菊桜
兼六園菊桜は、園内でいちばん有名な桜です。
兼六園菊桜という品種の桜です。
千歳橋(ちとせばし)のとなりにある、ななめに生えた、枝の少ない桜の木が兼六園菊桜です。
兼六園菊桜は超遅咲き。花見の時期が終わってゴールデンウイークすら終わる頃に満開になります。
園内の桜が全て散った頃に大トリを飾るように咲きます。
近年の兼六園菊桜は元気が無い
観光客の皆様の定番ルートにも必ず含まれ、兼六園菊桜を見るために来園する観光客も多いのですが・・、残念ながら、現在の二代目兼六園菊桜はあまり元気が無いのです。
一時期、保護シートでぐるぐる巻きにされ、枝を落とされ、根っこを保護するために盛り土がされていました。
がっかりして帰る人もいるし、ショボすぎて木を見つけられない人もいます。
兼六園菊桜の特徴
「兼六園菊桜」という呼び名は通名や愛称ではなく、「兼六園菊桜(けんろくえんきくざくら)」という品種の桜です。
兼六園の兼六園菊桜が原木で、全国に広まりました。
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兼六園熊谷、樹齢300年、水戸藩から送られた桜
圧巻の花びらの枚数
兼六園菊桜の花びらの枚数は300~360枚です。
花びらの枚数が多い桜は”菊咲き”と呼ばれますが、兼六園菊桜ほど枚数が多い桜は他にはありません。花がとっても豪華なのです。
photo by 石川県公式 金沢城と兼六園
花の色変わり
兼六園菊桜は、つぼみから咲き終わりまでに色が変わっていきます。
つぼみから花の咲き始めは濃い紅色、咲いている間は薄い桜色、散り際には白色に変わります。
武士のごとき散り際
兼六園菊桜は、花が白くなって散る頃、花びらが舞うことがありません。
散り際はさっぱりと、花ごと落下します。
また、本来なら実(サクランボ)になる部分も花と共に落ちるので、実が付きません。
実がつかないので鳥が集まりません。
また、実がつかない=種子が無いので種で増やすことができません。ひこばえや接木で増やします。
初代兼六園菊桜
初代兼六園菊桜は、孝明天皇(1831~1866年)から下賜されたものといわれています。
1928年に天然記念物に指定されていましたが、1970年に枯れてしまいました。
兼六園菊桜は、実(さくらんぼ)がつかないので、現在の兼六園菊桜はひこばえから育てられた二代目です。
兼六園の七五三桜(しちごさんざくら)
過去、旭桜(あさひざくら)、塩釜桜(しおがまざくら)、兼六園菊桜、は、兼六園の「七五三桜(しちごさんざくら)」と呼ばれていました。
幹の数がそれぞれ、旭桜が7本、塩釜桜が5本、兼六園菊桜が3本で、植えられている距離も7対5対3の比率でした。
3本とも初代は枯れて、現在は二代目です。
幹の数は変わってしまいましたが、植えられていた場所は変わっていないので、ちゃんと「七五三桜」なのです。
二代目というと惜しいというか残念な気がしますが、たとえ園内一の人気であっても、生き物なので寿命がくれば枯れるのです。
植物、石、人の流れや道に、栄枯盛衰や詫び寂びを感じるのも、日本庭園の楽しみ方なのです。