翠滝
翠滝はひさご池に落ちる滝の一つで、夕顔亭に近い方の滝です。
高さ6.6m、幅1.6mの大きな人工の滝で、滝つぼが無く、石が積みあがっているのが翠滝の特徴です。
五代藩主、前田綱紀(つなのり)が作った滝を、十一代藩主、前田治脩(はるなが)が作り直し1774年に夕顔亭とセットで完成したものです。
夕顔亭でお茶を立てる際、茶の湯の沸く音と滝の音を楽しむため、夕顔亭の中の障子を締め切っても滝の音が聞こえるように設計され、作られた当初は金沢城の石垣まで音が響くほどの轟音だったといいます。(現在は水量が少なくて音も小さいです。)
翠滝の裏話
翠滝にはこんな話があります。
十一代藩主、前田治脩(はるなが)は、蓮池亭大改修の際、紀伊(和歌山県)にある「那智の大滝」にならって滝を設計しました。
しかし何度作っても気に入らず、何度も何度も庭師に作り直しさせたといいます。
困った庭師は、石を積み上げて滝を作るという一般的な手法をやめ、滝の上から石を落とし、自然に積みあがるようにして作りなおしました。
上から石を落として積み上げたため、翠滝には滝つぼが無いのです。
十一代藩主、前田治脩(はるなが)は、この滝の出来に大満足し、
自分の日記に、
「蓮池滝、今日懸かる。はなはだよろし。おおよそ、かほど大きなる滝はいまだ見ずなりや。」
と書いています。
蓮池滝、今日懸かりました。スゲーいい感じ。だいたいこーんな大きい立派な滝、今まで見たことないわー。
日記に残すほどなので、よほどうれしかったのでしょう。