鶺鴒島
花見橋の下を流れる曲水の少し上流にある、
赤い鳥居や石塔が建つ小島が鶺鴒島(せきれいじま)です。
鶺鴒島は、『人の一生を表す島』、とされています。
鶺鴒島(せきれいじま)の由来
鶺鴒島は別名、「夫婦島(めおとじま)」とも呼ばれています。
子孫繁栄も含めて、人の一生を表している島です。
鶺鴒とは、鳥のセキレイのことです。
ハクセキレイ。
なぜ鳥のセキレイの名前が付いているのか、というと、
セキレイは古来より子孫繁栄のシンボルで、日本神話のイザナギとイザナミに子孫繁栄の契りを教えた鳥だからです。
兼六園には、セキレイが3種類いるよ。
兼六園のセキレイ3種
ちょっと怖い、鶺鴒島
鶺鴒島には赤い鳥居があり、鳥居の左奥に3つの石があります。
3つの石のうち、真ん中のおにぎり型の石碑には詩が彫られています。
石碑に彫られている詩は二つ。
「君徳を、あらわす枝に千代こめて、契る連理や相生の松」、「陰陽の、神のちかいや世々迄も、姿をかえずたてるこの石」
どちらも、永遠の愛を誓う詩です。
石碑の左右にある2つの石は、「陰陽石(おんみょうせき)」と呼ばれています。
右側の黒い石は男性を、左側の白っぽい石は女性を表しています。
陰陽石の後ろにある松の木2本は結婚を表していて、
「相生の松(あいおいのまつ)」、または、「連理の松(れんりのまつ)」と呼ばれています。
相生(あいおい)とは、相老い、とかけて、仲の良い夫婦が共に長生きすること、連理(れんり)も、夫婦和合、仲の良い夫婦のことです。
鳥居の右側(3つの石とは反対側)にある五重塔は、死を表していて、
鶺鴒島一つで、結婚、繁栄(誕生)、死、という人の一生のサイクルを表わしているのです。
このような島がわざわざ曲水の中に作られているのは、曲水(三途の川)を挟んで、手前がこの世、鳥居の向こうがあの世を表わしているからです。
江戸時代、百万石の大名といえども世継ぎがいなければ御家断絶。
殿様や奥方は、子孫繁栄と御家の存続を願って、人の一生を表わす鶺鴒島を造り、お参りしていたのです。