大和筆苔
成巽閣(せいそんかく)の赤門の前にある小さな囲いに、猫の毛のような、緑色のふわふわした苔が一面に生えた場所があります。
生えているのは、大和筆苔(ヤマトフデゴケ)というコケです。
(大和筆苔と呼ばれていますが苔の種類の名前ではなく、シッポゴケという苔の一種らしいです。)
夏場は干上がってパサパサ、秋は松葉が落ちていまひとつ、冬場は雪やアラレに埋もれて見えません。
なかなか綺麗な状態で見ることができないコケなのですが、梅雨時の雨上がりがいちばん綺麗に見えます。
残念な話
数年前まではこの囲いの中一面がふわふわのヤマトフデゴケでした。
現在は、石のフチから近い場所ではミズゴケなどの別の苔に生え変わってしまい、ひどい場所では地面がむき出しに・・。
大和筆苔を撮影するために石に足を掛けたり、足を踏み入れたり、触ったりする人が増えたとのこと。
大和筆苔はとてもデリケートなコケで、踏まれるとめくれ上がって弱ってしまい、踏みつけに強いミズゴケなどのコケに負けてしまうのです。
透明な糸は鳥よけの糸。
カラスやハトが苔をめくって幼虫やミミズを捜すのを防ぐために張られたものですが、最近は人間よけでもあります。
管理事務所の職員さん達が年に数回手入れを行うそうですが、手作業で数ミリの雑草を抜き、苔の間に入った砂利を一粒づつ取り出していました。
足を摺らないよう、動かないで作業を行うため、すごく大変だそうです。