兼六園の歴史

仕掛けがわかるとかんたん楽しい、日本庭園の見方

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日本庭園ってどうやって見るの?

日本庭園は、ただ見て回る順番に石や灯篭や植物を置いてあるだけではありません。

最大級に楽しめるようにプロデュースされています。

仕掛けが分かるとちょっと楽しい、日本庭園の見方です。

灯籠の見方

日本庭園といえば、灯篭(とうろう)。

灯篭はただ置いてあるのではなく、周りの植物や置石などといちばん調和するように置かれています。

三本足の灯篭は、どの足でも一本を正面にして見よ

三本足の灯篭は、足を一本、正面にして見ると、周囲の植物や置石と調和するように置かれています。

ガニマタになるような方向から見ると、いろんなモノがゴチャゴチャと・・。

 
 
足を1本、正面にして見ると。ほら、きれい。

借景

日本庭園には借景(しゃっけい)という手法があります。

借景とは、庭園外にある山や樹木を庭園の背景として借りる、というもの。

霞ヶ池は、眺望台から見える卯辰山を借景として造られています。

ことじ灯籠から霞ヶ池を見ると、卯辰山に背を向けることになり、借景は成り立ちません。

観光ポスターにもなるほどの、ことじ灯籠から見る景色ですが、

本当は、卯辰山が正面に見える方向から眺めるように造られています。

卯辰山を正面にして霞ヶ池を眺めると、近景に内橋亭、遠景に卯辰山、
中景になる蓬莱島が浮いて見えるという演出になっています。

殿様や奥方は、自然の山ですら己の庭の一部として見るというスケールの大きさで庭を見ていたのです。

かがんで見る

日本庭園には、「蹲踞石(そんこいし、そんきょいし)」という石があります。

花見橋の曲水の周りに、いかにも乗ってくださいといわんばかりの平べったい石が点在しています。

蹲踞石(そんこいし)と呼ばれる石で、石の上にかがんで、曲水の流れを楽しむための石です。

残念ながら、園内の景観を守るため、石に乗ってはいけません。

日本庭園は、本来、かがんでゆっくり眺めるように造られています。

殿様や奥方は、時間にせかされることなく、石にかがんで曲水を眺めていたでしょう。

模様を楽しむ

日本庭園の石敷きのデザインは、まっすぐな碁盤目模様が普通です。

兼六園では四半模様(しはんもよう)という斜線が基本となっています。

千歳橋、日暮しの橋、金城霊沢の石敷きが、四半模様であった、と記録されています。

千歳橋は改修の時に四半模様ではなくなってしまいましたが、日暮しの橋は、造られた当時のまま、四半模様のままです。

日暮しの橋の四半模様。

なぜ兼六園だけが四半模様になっているのかはわかっていません。

都市伝説ですが、加賀藩主の前田家が代々キリシタンであったため、碁盤目模様の十字架を踏まないように配慮したのでは、とも言われています。

色と形と材質を楽しむ

夕顔亭にある、後藤程乗(ごとうていじょう)作の「伯牙断琴の手水鉢(はくがだんきんのちょうずばち)」は円柱形で黒色です。

手水鉢の下にある御影石は、四角形で白色です。

色の取り合わせと、形や材質の対比に着目して見るのも日本庭園の楽しみの一つです。

雪見橋の青戸室石。

雁行橋の赤戸室石。

木でできた月見橋。

この3つの橋も、色の取り合わせと形や材質の対比で造られています。

明暗を楽しむ

蓮池門(れんちもん)をぬけると、視界が開けて広々しているが、松濤坂(しょうとうざか)は昼でも暗い。

暗い松濤坂を上ると噴水や兼六亭の広場があり、視界が開けて明るい。

桜ヶ丘の木立の影を通り、眺望台に出ると視界が開けて明るい。

このように、日本庭園は、明暗を繰り返して園内を回遊するように作られています。

これは、単純になりがちな景色や風景に、変化を持たせるための趣向なのです。

霞ヶ池の周辺でも、
うっそうとして暗い虎石の周辺を、左右どちらに向かっても、
(ことじ灯籠へ向かっても、さざえ山方面へ向かって歩いても)
明るくなるようになっています。

現在、園内は木が大きくなりすぎてあちこちで枝が落とされ、スカスカで、どこもかしこも明るくなってしまいましたが、まだまだ、明暗を楽しむことはでききます。

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