氷室跡
山崎山の裏手にある小汚い池(画像の右奥のほう)が氷室跡です。
氷室(ひむろ)とは、冬の間に積もった雪を窪地や穴に集めて、土やワラをかぶせて夏まで保存した場所のことです。
湯涌温泉(ゆわくおんせん)の氷室。
Photo by 石川県公式 金沢城公園と兼六園
加賀藩では、旧暦の6月1日に氷室を開け、氷室の雪を桐の長持(ながもち)に詰めて早馬で江戸まで運び、将軍に献上していました。
だるま
長持(ながもち)とは、木でできた大きな保管箱のこと。布団などの布製品を入れる場合は、墨汁が虫よけになることから、内側に古紙を張ったりして使用していました。金持ちや殿様の長持ちは漆塗りです。
また家臣にも氷室の雪を配る慣わしがありました。
Photo by 石川県公式 金沢城公園と兼六園
この習慣は今でも残っていて、金沢では7月1日は「氷室開きの日」と呼ばれます。
氷や雪を配るのではなく、なぜか、まんじゅうを配って食べる日に変わっています。
「氷室まんじゅう」と呼ばれ、7月1日頃に金沢市内のスーパーや和菓子屋で販売されます。
金沢市内の会社では氷室まんじゅうがふるまわれる会社もあり、同じ石川県民でも氷室まんじゅうの習慣がない地域の人は何事かとびっくりする、というのがお約束なのです。(最近ではまんじゅうに”氷室”の焼印がある)
だるま
なぜ氷室の雪がまんじゅうに置き換わったのか、一般市民に広まったのかは不明とのこと。和菓子屋の陰謀という説もある。