古生物の基礎

脊椎動物の進化とグループ分け

脊椎動物というグループ

地球46億年の歴史のうち、最初の生物が現れたのは今から約40~38億年前です。

現在までに地球に現れた全生物の数は、300万種から1000万種と言われています。

生物を大きくグループ分けすると、細菌、菌類、植物、無脊椎動物、脊椎動物などに分類され、最初に現れたのは細菌類(バクテリア)。

乳酸菌とか大腸菌とかが、バクテリアです。

このうち、もっとも最後に現れたのが、脊椎動物(せきついどうぶつ)です。

脊椎動物が、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類に分類されていたのは昔の話。

この記事では、近年新たに変更された脊椎動物の分類について紹介します。

脊椎動物の分類、昔と今

脊椎動物(せきついどうぶつ)とは、脊椎(せきつい、背骨)を持つ生物グループのことです。

背骨を軸にして力強く活発に行動することができます。

最初の脊索動物が現れたのは、約5億年前の「古生代 カンブリア紀」です。

脊椎動物の祖先となった動物は、脊索動物(せきさくどうぶつ)と呼ばれる動物です。

脊索とは、背中側を、頭からケツまで伸びる神経の管ことです。

この脊索を、炭酸カルシウムで覆った生物グループが脊椎動物と呼ばれます。

脊椎動物のうち、最も最初に現れたのが魚類。

現在の地球上で生きている生物の数は、細菌、植物、無脊椎動物、脊椎動物をすべてあわせて、約100万~170万種と言われています。

そのうち、脊椎動物の数は約6万8000種類です。

脊椎動物の5つのグループの種類数は以下です。

魚類=約33700種、両生類=約7400種、爬虫類=10300種、鳥類=約10600種、哺乳類=約6200種類です。

哺乳類が以外に少ないですね。

イチイチ君
イチイチ君

魚類(魚網)の分類は、硬骨魚類(硬骨魚網)、軟骨魚類(軟骨魚網)、ヌタウナギ類(ヌタウナギ網)、ヤツメウナギ類(ヤツメウナギ網)に分けられています。

遺伝子研究の結果、それぞれのグループが、同一ではない別々の祖先グループから枝分かれしてきたことが分かったからです。

ややこしいため、当記事では、これらをまとめて『魚類』と呼んでいます。

脊椎動物のグループ分け

学校では、脊椎動物は、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の5グループが含まれます、と習いました。

絶滅した古生物を含めてグループ分けすると、脊椎動物は4グループに分けられます。
 
 
魚類、両生類、爬虫類、単弓類の4グループです。
 
 
ん?。鳥類と哺乳類が消えちゃいましたね・・。
 

鳥類は爬虫類に、哺乳類は単弓類に含まれます。

図にすると、こんな感じ。
 

じゃあ、魚類、両生類、爬虫類、単弓類、鳥類、哺乳類の6グループじゃないの?と思っちゃいますが、
生物の分類には、
「祖先グループとそこから派生したグループも含めて、同じ一つのグループとする。」
という決まりがありまして、
鳥類は爬虫類の中の1グループである恐竜類から派性したグループ、
哺乳類は単弓類から派生したグループなので、厳密には祖先グループに含まれるのです。

現生では、恐竜類も単弓類も絶滅しているので、現生種だけを分類するのであれば、鳥類、哺乳類というグループ名でも問題ないし、分かりやすいので、使い分けているのです。

単弓類?


 
学校では習わなかった単弓類。

単弓類は、哺乳類の祖先グループです。

以前まで「哺乳類型爬虫類(ほにゅうるいがたはちゅうるい)」と呼ばれていて、爬虫類に含まれていました。

古生代に繁栄した、ディメトロドン、モスコプス、エステメノスクスなどが単弓類です。

単弓類は、哺乳類に似た特徴をたくさん持っていたため、爬虫類が→単弓類→哺乳類へと進化した、と考えられていたのです。

しかし、

遺伝子を調べた結果、「単弓類」は「爬虫類」から枝分かれしたのではない、ということがことが分かりました。

単弓類の祖先は『両生類』であり、「爬虫類」の祖先となった両生類とは別系統であることが分かったのです。

ということは、

この図のように「魚類→両生類→爬虫類→哺乳類」と順番に進化してきたのではなく、


 
 

こっちの図のように、「魚類→両生類、両生類→爬虫類と単弓類、単弓類→哺乳類へ、爬虫類から鳥類へ、と進化してきた」

というのが、現在わかっている範囲での脊椎動物の進化である、とされています。

オマケ、単弓類その後

多くの単弓類は古生代末期までに絶滅しましたが、古生代末期『ペルム紀末の大量絶滅』を生き残った、たった3グループの単弓類のうち、単弓類キノドン類から中生代三畳紀中頃に『哺乳類』が枝分かれします。

単弓類キノドン類は、世界中の多くの地域でジュラ紀中頃までに絶滅した、とされていますが、日本では白亜紀前期頃まで生き残っていたことが分かっています。

子孫である哺乳類との競合に敗れたのかもしれません。

現在生き残っている単弓類は、哺乳類のみです。


広告