画像準備中

恐竜類

骨盤の比較、鳥盤類と竜盤類のちがいとグループ分け

竜盤類と鳥盤類

爬虫類のあるグループから最初の恐竜が分岐したのは中生代 三畳紀の中ごろ(約2億3000万年ほど前)だとされています。

恐竜は現れてすぐに2つの系統に分かれました。

竜盤類(りゅうばんるい)と鳥盤類(ちょうばんるい)です。
(鳥盤類と竜盤類に別れる前の原始的な恐竜はまだ見つかっていません。)

この記事では、竜盤類と鳥盤類の違いと見分け方、含まれるグループを紹介します。

なぜ竜盤類と鳥盤類に分かれている?

恐竜類は大きく2系統、竜盤類と鳥盤類に分けられます。

主に骨盤の違いによる分け方で、骨盤の形がトカゲやワニに似ているグループ(竜盤類)、骨盤が鳥類に似ているグループ(鳥盤類)という分け方です。

竜盤類と鳥盤類の2系統に分類する方法がつくられたのは、1887年とかなり大昔であり、見直しが必要だ、という研究者もいます。

イチイチ君
イチイチ君
鳥盤類は「鳥」と付きますが進化の過程で骨盤が似ただけで、鳥類の祖先となったのは竜盤類です。
竜盤類のうち鳥類の祖先に近い仲間には、鳥類に似た骨盤を持つものがいます。

竜盤類の骨盤

骨盤とは腰にある骨で、爬虫類の場合は、恥骨(ちこつ)、腸骨(ちょうこつ)、坐骨(ざこつ、座骨)の3つが組み合わさっています。

竜盤類は、恥骨(赤色で囲った骨)が前へ、坐骨(黄色で囲った骨)が後ろへ向いています。

イチイチ君
イチイチ君
恥骨が前へ向く骨盤は、恐竜類が枝分かれする前の原始的な爬虫類を含め、ワニやトカゲなど多くの爬虫類が持つ特徴です。

そのほか、竜盤類の骨盤には、腸骨の丈が高い、恥骨の先端が膨らむ、という特徴があります。

竜盤類の仲間分け

竜盤類は、獣脚類と竜脚形類に分けられます。

獣脚類(じゅうきゃくるい)

ティラノサウルス、アロサウルス、ヴェロキラプトル、オルニトミムス、テリジノサウルス、アーケオプテリクス(始祖鳥)などが獣脚類です。

以前は、獣脚類はすべて肉食性と考えられていましたが、植物性の獣脚類もたくさん見つかっています。

獣脚類すべてに共通する特徴は、二足歩行です。

二足歩行であることは、恥骨が前へ向いた骨盤と大いに関係があるのです。

ティラノサウルスの骨盤。赤い枠が恥骨。青い枠が腸骨。緑の枠が坐骨。

恥骨には、「後肢(大腿骨)を前へ引き上げる筋肉が付く」、という役割があります。

恥骨と大腿骨の距離が離れていた方が、大きい(長い)筋肉をつけることが出き、後肢を大きく振って早く走ることができる、というわけです。

竜脚形類(りゅうきゃくけいるい)

竜脚形類は2グループ、原竜脚類(古竜脚類)と、竜脚類に分けられます。

どちらのグループも、小さな頭、長い首、長いしっぽを持つ植物食恐竜です。

原竜脚類(古竜脚類)にはプラテオサウルス、ルーフェンゴサウルス、ユンナノサウルスなどが含まれます。

竜脚類には、ブラキオサウルス、ディプロドクス、アパトサウルスなどが含まれます。

ディプロドクスの骨盤。赤い枠が恥骨、緑の枠が坐骨。
獣脚類に比べると恥骨はやや下向きで、恥骨も坐骨も太短く、頑丈になっています。

獣脚類よりも恥骨が前へ向かなかったのは、植物を消化するための、大きな消化器官を収めるスペース確保のためだと考えられています。

四足歩行であるため、後肢を大きく前に引き上げる必要が無く、大きな消化器官と長い尻尾を支えるための恥骨と坐骨になったのでしょう。

鳥盤類の骨盤

鳥盤類は、恥骨(赤色で囲った骨)と坐骨(黄色で囲った骨)が並行する骨盤を持ちます。

腸骨は上下に低く、恥骨の先端はほっそりしています(ふくらんでいません)。

また、全ての鳥盤類に共通する特徴として、基本的に植物食で、下あごの先に「前歯骨(ぜんしこつ)」があります。

ステゴサウルスの頭骨。下あごの先っぽの三角形の骨が前歯骨。(生きている時は角質のクチバシがかぶっていました)

イチイチ君
イチイチ君
獣脚類にも、植物食でクチバシを持つ仲間がいますが、前歯骨はありません。

鳥盤類の仲間分け

鳥盤類は、装盾類(そうじゅんるい)、鳥脚類(ちょうきゃくるい)、周飾頭類(しゅうしょくとうるい)の3グループに分けられます。

さらに、装盾類は、剣竜類(けんりゅうるい)と鎧竜類(よろいりゅうるい)。

周飾頭類は、堅頭竜類(けんとうりゅうるい)と角竜類(つのりゅうるい)に分けられます。

装盾類(そうじゅんるい)

装盾類は、背中にヨロイや板やトゲを持つ植物食恐竜です。

剣竜類(けんりゅうるい)と鎧竜類(よろいりゅうるい)がこの仲間です。

剣竜類にはステゴサウルスやトゥオジャンゴサウルスが含まれます。

剣竜類、トゥオジャンゴサウルス。

鎧竜類にはノドサウルスやアンキロサウルスやユーオプロケファルスが含まれます。

鎧竜類、ユーオプロケファルス。

装盾類では、トゲ、板、鎧を背負い、尻尾に振り回す武器があるため、腰が非常に頑丈です。

特に鎧竜類では、腸骨が大きくひさしのように張り出しています。

エドモントニアの骨盤。青い枠が腸骨。緑の枠が坐骨。

鎧竜類では恥骨が退化して小さくなっています(下からのぞき込んでも見えない)。

他の恐竜類では、後肢を前に引く筋肉が「恥骨」に付きますが、鎧竜類では、巨大な「腸骨」に付いています。

立派な鎧を腰で支えるためと、後肢で立ち回って尻尾の棍棒を振り回すため、太く大きな力強い筋肉が必要だったのでしょう。

鳥脚類(ちょうきゃくるい)

鳥脚類には、ヒプシロフォドン、イグアノドン、エドモントサウルス、パラサウロロフス、ヒパクロサウルスなどが含まれます。

鳥脚類、イグアノドン。

鳥脚類は、歯やアゴが植物を食べるために特殊化しています。

進化した仲間は、デンタルバッテリーと呼ばれる、歯の磨り減りに対応した予備の歯を持っています。

鳥脚類には、獣脚類のように二足歩行する仲間がいます。

この仲間は、恥骨が後方へ向いていますが、前方へ向いてるのでは?、と勘違いするほどの突起が発達しています。

ニッポノサウルスの骨盤。赤い枠が後ろへ向いた恥骨。

黄色い丸が、「前恥骨突起(ぜんちこつとっき)」と呼ばれるもので、特にハドロサウルス類ではかなり目立ちます。

恥骨が後方へ向いたものの、(二足歩行する仲間では)後肢を前に引く筋肉の付く場所が必要になったため、後付けでわざわざ発達させたのです。

周飾頭類(しゅうしょくとうるい)

周飾頭類は、頭や顔が、ツノやコブ、襟飾り(フリル)で飾られた植物食恐竜です。

堅頭竜類(けんとうりゅうるい)と角竜類(つのりゅうるい)がこの仲間です。

堅頭竜類にはパキケファロサウルス、ホマロケファレなどが含まれます。
堅頭竜類、パキケファロサウルス。

角竜類には、プシッタコサウルス、プロトケラトプス、トリケラトプスなどが含まれます。
角竜類、トリケラトプス。

堅頭竜類は2足歩行、角竜類は2足歩行から四足歩行へ移行したため、ハドロサウルス類ほどではありませんが、「前恥骨突起(ぜんちこつとっき)」があります。

ステゴケラスの骨盤。黄色い丸が、「前恥骨突起(ぜんちこつとっき)」。

 


広告