恐竜は爬虫類のグループ
恐竜(恐竜類)とは、爬虫類の一グループをまとめた呼び名で、生物学上の分類は、爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目に含まれる生物です。
胴の真下に脚が伸びた、直立歩行する爬虫類です。
多くの恐竜は陸生ですが、半水生の恐竜や、空を飛ぶ恐竜もいました。
(完全に水生に適応した恐竜は見つかっていません)。
現在見つかっている恐竜の種類は約800種類で、日本でも恐竜の化石が発見されています。
福井県勝山市で見つかった肉食恐竜、フクイラプトルの化石。
恐竜が生きていた時代は、中生代(ちゅうせいだい:今から2億5200万年前~6600万年前)です。
中生代より新しい地層からは、恐竜の化石は見つかっていません。
もくじ
恐竜が実在の生物だった証拠、化石
怪獣は人の作ったフィクションですが、恐竜は実際に地球上に生きていた生物です。
骨、歯、羽毛、卵、巣、足跡、うんこ、噛み跡、などの生きていた痕跡が化石となって発見されるので、生きていたことが分かります。
獣脚類の巣と卵の化石。
一部の恐竜(鳥類に近いグループ)は、卵を温めて孵したことがわかっています。
卵からかえった子どもにエサを与えて育てたり、群れの仲間で共同して子どもを保護した恐竜もいました。
現生には、恐竜はいません。
恐竜は中生代の最後(6600万年前)に絶滅しました。
絶滅とは、子孫を残すことなく死に絶えてしまうことです。
なぜ絶滅したことが分かるかというと、やっぱり化石です。
中生代の地層から発見される恐竜の化石が、6600万年以降の地層からは発見されず、6600万年を境に、発見される化石の生物相がガラリと変わっているからです。
絶滅の理由は、隕石衝突による地球環境の急変である、とされています。
恐竜が絶滅した6600万年前の大絶滅は、「白亜紀末の大絶滅(はくあきまつのだいぜつめつ)」と呼ばれています。
恐竜の他にも、翼竜、モササウルス類、アンモナイト、ベネチテス類(植物の一種)、海の表層にすむ大型有孔虫などが絶滅しています。
絶滅した生物が劣っていたのではなく、哺乳類も鳥類も、ワニもトカゲもカメもカエルも魚も植物も、当時生きていた生物はたくさんのグループ(種や科レベル)が絶滅し、絶滅寸前の大ダメージを受けています。
わずかに生き残った種類から進化と枝分かれと絶滅を繰り返して繁栄した生物が、現生の生物です。
当時北アメリカで繁栄していた有袋類のうち、ただ一つ生き残ったグループがオポッサム科。
オポッサム科のキタオポッサム。現在も北アメリカにすんでいる有袋類。
白亜紀末の大絶滅が起こらなければ、北アメリカも、オーストラリアや南アメリカみたいな有袋類のたくさんいる国だったかもしれません。
恐竜は絶滅していない?。恐竜の子孫、鳥類
恐竜は絶滅しました。
と、先ほど書きましたが、
絶滅とは、子孫を残すことなく死に絶えてしまうこと。
近年、鳥類が恐竜から進化したことが分かり、恐竜は現代に鳥類という子孫を残している、ということで、
「恐竜は白亜紀末に絶滅した」という表現から、
「恐竜の多くが絶滅した」とか「一部の恐竜は鳥類という子孫を残したが多くの恐竜は絶滅した」という表現のしかたに変わってきています。
恐竜の子孫なの。
しかし、鳥類を恐竜と呼びません。
すでに恐竜が絶滅し、鳥類という新しい特徴をもった動物グループとして派生したからです。
※生物の分類において、『新しく派性したグループは、元のグループと同じ分類群とする』という決まりがあるため、厳密には鳥類は、爬虫類の中の恐竜類に分類されます。
恐竜とその他の爬虫類との違い、その1
恐竜はすでにいませんが、爬虫類は現生でもたくさんすんでいます。
カメ、ヘビ、トカゲ、ワニなどです。
これらの爬虫類と恐竜は似たところもありますが、恐竜はちょっと特殊な爬虫類です。
何が違うかというと、ぱっとみて分かりやすい違いは脚のつき方です。
腹ばい姿勢のニホントカゲ。
恐竜は、胴体の下にまっすぐ脚が伸びています。
恐竜、ユーオプロケファルス。ニホントカゲとおなじ四足歩行ですが、腹ばいではありません。
恐竜は胴体の下にまっすぐ脚が伸びている直立歩行なので、歩行するときにトカゲのように体をくねらせる必要がないのです。
哺乳類と鳥類も、胴体の下にまっすぐ脚が伸びる直立歩行をします。
直立歩行は、走っても跳んでも胴体がブレない歩き方なので、運動時に呼吸をジャマされることがなく、高い運動能力を発揮することができるのです。
現生の爬虫類には、恐竜のように直立歩行をする種類はいませんが、ワニやトカゲの絶滅した親戚には、胴体の下に脚が伸びていて直立歩行する種類がけっこういました。
恐竜と同じ時代に生きていた爬虫類の一種。マラスクス(ラゴスクス)。
マラスクスは二足歩行の爬虫類で見た目は恐竜チックですが、股関節や骨盤のつくり、カカトの骨などが恐竜とは違うため、恐竜には分類されません。
また、現生のワニの祖先はもともと胴体の真下に脚が伸びた陸生の爬虫類でした。
水中で活動するには胴の真横に脚があるほうが水をかいて泳ぎやすいので、水中で活動するタイプのワニたちは、脚の付き方を胴の横に伸びるように戻しちゃったのです。
恐竜とその他の爬虫類との違い、その2
恐竜類と、その他の爬虫類のもう一つの分かりやすい違いは、骨盤です。
骨盤(こつばん)とは腰にある骨で、
爬虫類は、恥骨(ちこつ)、腸骨(ちょうこつ)、坐骨(ざこつ)の3つの骨が組み合わさって、一つの骨盤を形成しています。
(哺乳類の骨盤は、3つの骨が癒合して一体化しています。)
恐竜は、恥骨の向きによって鳥盤類(ちょうばんるい)と竜盤類(りゅうばんるい)の2グループに分けられています。
竜盤類の骨盤。横(恐竜の左側)から見た骨盤。
鳥盤類の骨盤。横から見た骨盤。
鳥盤類と竜盤類に分類されない爬虫類は、恐竜ではありません。
※最近の研究では、
「最初に鳥盤類と竜盤類の二つに枝分かれした」という分類が間違いではないか、
という驚きの研究報告も・・。
恐竜は大きいの誤解
恐竜はとても大きいイメージがありますが、大きさは種類によってさまざまです。
大きい種類は体長30m超(40m近い種類も)、小さい種類は成長しても体長20cmほどです。
多くの種類は殻つきの卵を産んだと考えられていますが、卵の大きさは見つかっている最も大きいもので直径60cm程度です。
恐竜は全部肉食で怖いヤツの誤解
恐竜の食性はさまざまで、肉食、植物食、魚食、雑食、腐肉食などの恐竜がいました。
何を食べていたかは、溶けかかったトカゲの骨や魚のウロコが化石の胃のあたりから見つかることでわかることがありますが、アゴの形や歯の形、クチバシなどで分かることもあります。
クチバシの構造から、プランクトンを濾して食べていた可能性のある種類も見つかっています。
恐竜のウンコの化石に何が含まれているか顕微鏡で調べて、何を食べていたか知ることもできます。
ウンコなんか汚いなあーと思うかもしれませんが、ウンコ化石は「コプロライト」と呼ばれて宝石のように磨かれ、販売されていることがあります。
手にいれる事があれば、顕微鏡で見てみると新しい発見があるかもしれません。