フクイサウルスは、福井県勝山市で発見され、2003年に学名がつけられた植物食恐竜です。
日本で初めて全身骨格が復元された恐竜でもあります。
2020年に化石が見直され、復元姿が修正されています。
フクイサウルス
学名:Fukuisaurus tetoriensis(フクイサウルス・テトリエンシス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 鳥盤目 鳥脚亜目 科未定
時代:中生代 白亜紀前期
体長:4.7m
発掘地:日本 福井県 勝山市 北谷町
学名の意味:福井のトカゲ
イグアノドンに近い仲間
フクイサウルスは白亜紀前期(アプチアン~アルビアン:約1億2500万年前~約1億0050万年前)の日本にすんでいた植物食恐竜です。
学名は、福井県で見つかったことから「フクイサウルス(福井のトカゲ)」、種小名の「テトリエンシス」は化石の見つかった地層名、手取層群(てどりそうぐん)から。
推定体長4.7m。推定体重450kg~900kg。
ヒトと比べるとこれくらい。
イグアノドン類に分類されていますが、大型の種類が多いイグアノドン類の中ではかなり小型です。
どんな恐竜だった?
福井県立恐竜博物館にあるフクイサウルスの動刻(アニマトロニクス)。
実物サイズで造られていて、動いたり鳴いたりしますが、入れ替えられたり貸し出されたりするのかはたまた修理中なのか、時々しか現れません。
ハドロサウルス類(カモノハシ竜)に似ていますが、ハドロサウルス類よりやや原始的なグループ、イグアノドン類に分類されています。
イグアノドン類は、植物を上手に噛むための特徴として、一つの歯槽に縦に2本の歯(1本はすり減りのための予備)を装備しています。
さらに、アゴを左右に動かして(噛み合わせると、上アゴが下アゴの上で左右にスライドして広がるしくみ)ゴリゴリモグモグ植物を切り刻むことができるように進化しています。
しかし、フクイサウルスはアゴを左右に動かすことができず、アゴを上下にだけ動かして植物を噛んでいた、と考えられています。
植物を上下に噛んだだけで効率よく栄養を吸収できたかどうかはナゾで、胃石を使ったり、大きな砂嚢や複数の胃袋を持っていたのかもしれません。
フクイサウルスは、イグアノドン類の中では初期の仲間であったためアゴの造りも原始的なままだった、とする説もあります。
イグアノドンらしさ、いいね
フクイサウルスの前肢です。
フクイサウルスにもイグアノドン類の特徴である親指スパイクがちゃんとあります。いいね!ってなってます。
親指以外の指の先はヒヅメ状になっていて、物を掴む手というよりは、歩くための手です。
第5指(小指)は小さくなっています。
変わる復元姿
フクイサウルスは、2020年に化石が見直され、復元姿が修正されました。
フクイサウルスのド正面2020。全身は骨太というか、少しゴツめになりました。
2003年のフクイサウルス、復元頭骨。(2003年ではすでに下アゴが厚めに修正されています。)
こちらが2020年の最新の復元。
眼窩の上に眼瞼骨(がんけんこつ)が足されて彫が深くなったのと、頭骨は前後に少し寸詰まりになっています。
下アゴにかなり厚みがあったこと、下アゴのクチバシの先が細くなっていたことが分かっていて、修正されています。
進化型のイグアノドン類では、下アゴのクチバシは、ハドロサウルス類のアヒルぐちのように広がっていくため、このて点でもフクイサウルスはやや原始的とされています。
ちなみに。1995年のフクイサウルスの頭骨。
当時は学名もついておらず(愛称はフクイリュウ)、ハドロサウルス類とされていたため、ご立派なウマヅラです。
フクイサウルス描いてみた
フクイサウルスを描いてみました。
華奢ではありませんがガッシリしています。イグアノドンほど骨太ではありません。
フクイサウルスが見つかった勝山の北谷層からは、おなじイグアノドン類に含まれる「コシサウルス」も見つかっています。
同じイグアノドン類ですが、コシサウルスの方がややハドロサウルス類に近づいた進化型で、白亜紀前期の勝山で、食べ物やすむ場所で上手にすみ分けていた、と考えられています。