ティロサウルスは、後期白亜紀の北アメリカ大陸中央部に広がっていた海、ウエスタンインテリアシーウェイにすんでいた大型のモササウルス類です。
推定体長14m、最大の頭骨は長さ約1.8mあります。
ティロサウルス
学名:Tylosaurus proriger(ティロサウルス・プロリゲル)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 鱗竜目 トカゲ亜目 モササウルス科 ティロサウルス亜科
時代:中生代 後期白亜紀
体長:14m
発掘地:アメリカ カンザス州 ニオブララ層
学名の意味:ふくらんだトカゲ
後期白亜紀の大型モササウルス類
ティロサウルスは、後期白亜紀(カンパニアン:約8360万年前~約7210万年前)の海にすんでいたモササウルス類です。
ティロサウルスは、当時の北アメリカを東西に分断して広がっていた浅い海、ウエスタンインテリアシーウェイ(西部内陸海道)にすんでいました。
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中生代 白亜紀はどんな時代?
ティロサウルスの最大体長は推定14m。
ヒトが食われたとすると、これくらいの大きさ。
ヒトなど一口おつまみですね。
学名の由来
ティロサウルスという学名の由来は、口の先っぽ(歯のある所)から先へ鼻先が突き出ている(膨らんでいる)から。(画像の白丸)
生きていた時はサメのように鼻先が付き出ていて、獲物に体当たりするような狩りをしたのではないか、とされています。
バンカー(Bunker)という愛称が付けられた個体で、たくさん見つかっているティロサウルスの中で最大。
モササウルス類は恐竜じゃないよ
ティロサウルスの含まれるモササウルス類は、恐竜ではありません。
恐竜とはかなり離れた遠い親戚です。
トカゲやヘビが含まれる「有隣類」というグループのうち、水中で生活する方向へ進化した仲間です。
モササウルス類は恐竜よりもトカゲやヘビに近い仲間で、コモドオオトカゲ(コモドドラゴン)に近い系統とされていたため、別名「海トカゲ」とも呼ばれていました。
現在は、モササウルス類はトカゲよりもヘビに近いとする説が有力ですが、ティロサウルスの皮膚は、コモドドラゴンのように荒いブツブツのウロコだったことが分かっています。
見た目は似ていたのかもしれません。
小さく見えるけど、コモドオオトカゲは体長2~3m、最大体重70kgにもなる大型のトカゲです。
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モササウルス類は、一生を水中で生活するため、四肢はヒレになっています。
ティロサウルスの前肢。水をかくためにヒレ状になっていて、広がった五本の指に皮膚を張ったようなヒレだったようです。
モササウルス類の特殊な歯
ティロサウルスの頭骨です。
大きな鋭い歯が口先から奥まで並んでおり、上アゴの天井の奥にも特別な歯があります。(赤丸)
獲物に噛み付いて食いちぎりそうに見えますが、獲物は丸のみしていたようです。
上アゴの天井にある歯は翼状骨歯(よくじょうこつし)と呼ばれる歯で、翼状骨(よくじょうこつ)と呼ばれる土台の骨(歯槽)に埋まって生えている、ちゃんとした歯です。
モササウルス類は、普通のアゴの歯と同じ構造を上アゴの天井にも作っちゃったわけですね。すごい捕食者です。
大きな歯や上アゴの翼状骨歯は獲物を逃がさないための歯だったようです。
モササウルス類の特殊なアゴ関節
モササウルス類は下あごを横に広げることができる関節を持っています。(赤矢印)
ティロサウルスの胃の周辺から見つかった獲物の化石には、噛みちぎられた痕跡がほとんど残っていないことから、獲物は噛まずに丸呑みしていたと考えられています。
胃の周辺から見つかったのは、魚のほか、サメ、クリダステス(モササウルス類)、クビナガリュウ類、ヘスペロルニス(鳥類)など。
トカゲやヘビには、自分よりも大きな獲物でも丸呑みできるほどアゴを大きく開けるしくみを持っている種類がいます。
モササウルス類が自身よりも大きな獲物を襲ったかどうかはわかりませんが、
獲物目線だと、普段は下画像ような下アゴが、横に広がって追ってくる・・・。恐ろしい捕食者だったでしょう。