恐竜・獣脚亜目 中生代の生物

ティラノサウルス、白亜紀末の大量絶滅で滅んだ最強の肉食恐竜

ティラノサウルス

ティラノサウルスは、白亜紀末期の北アメリカにすんでいた肉食恐竜です。

学名の「Tyrannosaurus rex(ティラノサウルス・レックス)」を省略して、T-REX(ティーレックス)とも呼ばれます。

最大体長13m、大きな頭に立体視できる目を持ち、噛み付く力は化石生物&現生の生物の中で最強とも言われます。

恐竜界最強ともいわれるティラノサウルスですが、生きていたのは6600万年前の白亜紀末、「白亜紀末の大量絶滅」で絶滅しています。


ティラノサウルス
学名:Tyrannosaurus rex(ティラノサウルス・レックス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 獣脚亜目 ティラノサウルス科 ティラノサウルス亜科
時代:中生代 白亜紀末期
体長:13m
発掘地:北アメリカ、カナダ
学名の意味:ティラノス=暴君、サウルス=トカゲ

有名だよね

ティラノサウルスは、中生代 白亜紀末期(マーストリヒチアンの末期:約6600万年前)の北アメリカにすんでいた肉食恐竜です。

白亜紀後期の北アメリカは海で東西に分かれていました。
西がララミディア、東がアパラチアです。

ティラノサウルス・レックスがすんでいた白亜紀末期には、東西を分断している海はすでに狭くなっていましたが、
ティラノサウルスの化石は、西のララミディアからしか見つかっていません。

イチイチ君
イチイチ君
北アメリカを東西に分断していた海は、西部中央海道(ウエスタン・インテリア・シーウェイ)と呼ばれます。

ティラノサウルスの大きさ

ティラノサウルスは、最大体長13m、推定体重3.6t~7.2t。

ヒトと比べると、これくらい。



ティラノサウルスの場合、メスの方が大きかったとされていますが、最大体長13mのティラノサウルスはオスと推定されています。

イチイチ君
イチイチ君
ティラノサウルスのオスメスの違いは、骨盤の形や血道弓(けつどうきゅう:尻尾の下側の骨)の数や形で判別できます。


立体視できる目、大きな頭骨を持ち、噛む力は地球上に現れた生物史上最大という説もあります。

誰でも知っている最強の肉食恐竜ですが、不釣合いなほど小さな腕には指が2本しかありません。

小さいとはいえ、ティラノサウルスの腕の大きさは、ヒトの腕と同じくらいあるんですけどね。

腐肉食だった?、獲物を狩った?

ティラノサウルスは肉食恐竜です。

肉食恐竜といっても、生きた獲物を狩る種類もいれば、死体をあさる掃除屋さん的な種類もいます。

ティラノサウルスは立体視できる目を持っているので、獲物を追って狩っていた可能性が高いといわれています。

正面から見たティラノサウルスの頭骨。眼窩(がんか:目のおさまる穴)がこっち見てますね。



立体視できるということは獲物との距離を測る必要があったということ。

死体は逃げませんから、立体視は必要ないのです。

しかし、脳幹のCTスキャンから、嗅覚がとても発達していたこと。骨も砕く強力なアゴから、死体の匂いを頼りに腐肉を専門に漁っていたとする説も根強くあります。

ティラノサウルスが腐肉食だったのか、獲物を積極的に狩っていたのかはまだわかっていないのです。

群れをつくっていた証拠?

ティラノサウルスが群れをつくっていたという証拠(足跡や複数体が同じ場所から発見されるなど)はまだ見つかっていません。

しかし、あるテ
ィラノサウルスの化石(大型のメス)は、後肢を骨折した後に治った痕跡があり、群れをつくっていた可能性が高いとされています。

二足歩行の生物は、足を骨折すれば治るまで狩りに行くことができないので、治るまで群れの仲間がエサを運んできたのだろう、という考えからです。

しかし、もし上記のように仲間がエサを運んできたとして、飲み水やウンコはどうしたんでしょう?。

群れを作らなかったとしても、歩ける程度にケガが治るまで絶食していた可能性もあります。

狩りのスタイル

ティラノサウルスの成体の走る速度は推定20km程度で、巨体のわりにそんなに速くなかった、とされています。



群れを作ったとすれば、身軽な若いヤツが走って追い出し、成体が待ち伏せて仕留める・・、ような連携プレイをしたのかもしれません。

群れを作ったにせよ、作らなかったにせよ、腕が貧弱で獲物を襲うには役に立たないので、たぶん頭から突撃したハズ。

大きい頭とS字に曲がった太い首は突撃のために発達したんじゃないかな、と思う。

突撃!おまえが晩ごはん!(白亜紀末の北アメリカバージョン)。

↓白亜紀末のアジアバーションもあるよ(タルボサウルス)↓。


小さな腕の使い道

ティラノサウルスの前肢です。

2本の指は、第一指(親指)と第二指(人差し指)です。

手首のあたりには第三指(中指)の痕跡が残っていますが、ほとんど見えません。

小さな腕の用途については、色々な説があります。

交尾の時にメスを固定するため、とか、うつぶせ状態から起き上がる時に支えにした、などと言われています。

起き上がるティラノサウルスを描いてみた。よっこいしょ。

ティラノサウルス類共通の特徴

ティラノサウルス類には、オリジナルの特徴があります。

側頭窓のB

ティラノサウルスの頭骨です。


眼窩孔(がんかこう)は目玉のおさまる穴。その後ろの穴が下側頭孔(側頭窓)。

下側頭孔(かそくとうこう)は、噛むための筋肉を通す穴です。

ティラノサウルス類は、下側頭孔(側頭窓)がアルファベットの「B字型」になっています。

原始的な仲間も進化的な仲間も、みんな「B字型」です。

前歯のD

ティラノサウルス類の前歯の断面は、アルファベットの「D字型」です。



アルファベットの「D字型」なのは全部の歯ではなく、前上顎骨(ぜんじょうがくこつ)にある「前上顎歯(ぜんじょうがくし)」とよばれる前歯だけです。

前上顎歯がこんなんなってんの。



また、全ての歯には、鋸歯(きょし)とセレーションがあります。

鋸歯はステーキナイフのように肉を裂くためのギザギサ、セレーションは獲物の体液を受け流して歯を刺しやすくする溝です。

・・噛まれたくないですな。

骨盤にある特徴

ティラノサウルスの骨盤です。



ティラノサウルス類は、恥骨の先端がブーツ型に広がっています。

ブーツ型なのは、お座り(伏せ)するときに地面につけてイスがわりにするためです。

ちょっと見えにくいですが、腸骨の中央に、上下に向って伸びる稜(でっぱり)があるのも特徴の一つです。

中足骨の三角

ティラノサウルスの後肢です。



大型のティラノサウルス類は、真ん中の中足骨(ちゅうそくこつ:足の甲の骨)が三角形になっています。

ガッチリ結束する事で、重い体重をささえることができるようになっています。

ティラノサウルス類以外の後肢と比較してみましょう。

アロサウルスの後肢です。



アロサウルスも大型肉食恐竜ですが、中足骨は結束していません。

イチイチ君
イチイチ君
原始的なティラノサウルス類は中足骨が結束していません。大型化するにつれ、重い体重を支えて歩くために中足骨が結束したのでしょう。

もしも白亜紀末の大量絶滅がなければ・・

ティラノサウルス類の中では最後に現れたティラノサウルスは白亜紀末期の北アメリカにすんでいました。

白亜紀末の大量絶滅の原因となった小惑星は、当時の北アメリカの南部の陸地(現在のメキシコにあるユカタン半島)に衝突しています。

ティラノサウルスは、衝突する小惑星が空にあるのを見ていたかもしれません。



もし小惑星が陸ではなく海に落ちていたら、たった数キロ落ちる場所がずれていたら、恐竜は絶滅しなかった・・とも言われています。



白亜紀末の大量絶滅が起こらなければ、ティラノサウルス・レックスはどんな恐竜に進化していたのでしょうか・・。

ティラノサウルス描いてみた


ティラノサウルス(頭)の鉛筆画を描いています。

どうやって描いてんだろうと思ったら、ご参考にどうぞ。


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