アリオラムスは白亜紀後期のモンゴルにすんでいたティラノサウルス類です。
ティラノサウルス類の中では珍しく、丈の低いほそ長い顔をしています。
アリオラムス(頭骨)
学名:Alioramus altai(アリオラムス・アルタイ)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 獣脚亜目 ティラノサウルス科
時代:中生代 白亜紀後期
体長:6m
発掘地:モンゴル
学名の意味:ほかの枝
ティラノサウルス科では最小種
アリオラムスは白亜紀後期の末期(カンパニアン~マーストリヒチアン:約8360万年前~約6600万年前)のモンゴルにすんでいたティラノサウルス類です。
ティラノサウルス類の中では、ティラノサウルス亜科とアルバートサウルス亜科が含まれる「ティラノサウルス科」に分類されています。
体長6m、推定体重400kg~900kg。
ヒトと比べるとこれくらい。
成長するともっと大きくなったのかもしれません。
アリオラムスが見つかった当初、独特のほそ長い顔から、他のティラノサウルス科の子どもなのか、別の系統のグループなのか意見が分かれました。
見つかっているアリオラムスが幼体と亜成体だけなので、「ティラノサウルス科は幼体のうちは顔が長かったのではないか」という説もありました。
しかし、2014年に中国でアリオラムスによく似た顔の、チエンジョウサウルス(Qianzhousaurus sisensis)の成体が見つかり、ティラノサウルス科には顔が長い系のグループがいたことが証明されました。
ほそ長い顔と突起
アリオラムスの頭骨です。
目の上に眼窩上隆起があって、そこから繋がる突起が一対、ハナヅラに4つか5つの低い突起が並んでいます。
上下に丈の低い細長い顔で、ティラノサウルスやタルボサウルスのような、高さのあるゴツイ頭骨とは全然違います。
細身のアルバートサウルスやゴルゴサウルスよりももっと細くて長い顔です。
だが、正面から見るとティラノサウルス顔。
アリオラムスの脳
アリオラムスの脳エンドキャストです。
脳は他のティラノサウルス類と同じで長細い形です。
アリオラムスでは、他のティラノサウルス類の脳ではツルンとしている視蓋(しがい:視覚と関係する脳の領域)の部分がちょっと飛び出ているのが特徴です。これが幼体や亜成体である決め手の一つになった、とのこと。
この脳エンドキャストには三半規管(体のバランスや聴覚に関係する器官)が表現されていませんが、三半規管の傾きから、アリオラムスは普段は顔を少し下に向けた姿勢だったことがわかっています。
アリオラムスやチエンジョウサウルスの顔が長いのは、魚食性だったから、という説があります。
もしかしたら、スピノサウルスのような魚食性の系統がティラノサウルス類にもいたのかも・・。