中生代の生物 恐竜・周飾頭亜目

アクイロプス、北米最古の角竜類

アクイロプス、北米最古の角竜

アクイロプスは、2013年に新種として記載された原始的な角竜類です。

アジア起源で進化し後に北アメリカへ渡って繁栄した、とされる角竜類の大きな進化の流れの重要な証拠となる恐竜です。

アクイロプス(頭骨の3D復元模型)
学名:Aquilops americanus(アクイロプス・アメリカヌス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 鳥盤目 周飾頭亜目 角竜下目 ネオケラトプス類
時代:中生代 白亜紀前期
体長:推定60cm(頭骨は10cmほど)
発掘地:アメリカ モンタナ州
学名の意味:ワシ(鷲)の顔(アクイラ=鷲、オプス=顔)

北アメリカ最古の角竜

アクイロプスは白亜紀前期の終わり頃(アルビアン:約1億1300万年前~約1億0050万年前)北アメリカにすんでいた角竜類です。

頭骨しか見つかっていませんが、推定体長60cmの小型の角竜類です。

ヒトと比べるとこれくらい。

アクイロプスは北アメリカで見つかっている最古の角竜類です。

北アメリカでは、白亜紀後期の始めごろの角竜類「ズニケラトプス(白亜紀後期の始め頃:約9390万年前~約8980万年前)」が最古とされていましたが、アクイロプスの発見により、角竜類がもっと古い時代に北アメリカに渡っていたことがわかりました。

ネオケラトプス類とは

アクイロプスの含まれる「ネオケラトプス類」は、インロンやプシッタコサウルスなどのようなフリル(えり飾り)を持たない角竜類から少しだけ進化したグループです。

角竜類の分類では、アクイロプスはここらへん。

ネオケラトプス類は、体は小型で、目立たない控えめなフリル(えり飾り)を持ちますが、顔面に角がありません。

ネオケラトプス類よりも原始的な角竜類。

イチイチ君
イチイチ君
角竜類の中で、もっとも進化したグループがトリケラトプスに代表されるケラトプス上科(ケラトプス類)です。派手なフリルや立派な角を持つ四足歩行の大型の角竜類は白亜紀後期に現れたケラトプス上科の仲間だけです。

アクイロプスはトリケラトプスの祖先?

アクイロプスが最初に渡米した角竜類ならば、北アメリカの角竜類として有名なトリケラトプスやスティラコサウルスなどの祖先なんじゃないか、と思ったわけですが、

トリケラトプスやスティラコサウルスなどは、アクイロプスとは別系統の角竜類だそうです。

アクイロプスが渡米後、陸続きだったベーリング海峡(ベーリング陸峡)が再び海で隔てられた時期があり、アジアと北アメリカは分断され、それぞれ独自の角竜類が進化しました。

その後、再度ベーリング海峡が陸続きになった時に渡米した角竜類(ズニケラトプスの祖先)がトリケラトプスなどの祖先だと考えられえています。

アクイロプスの発見により、角竜類が少なくとも2回アメリカへ移動したこと、アクイロプスの系統は北アメリカで繁栄することなく滅んでしまったこと、その後にアメリカへ移動した角竜類が北アメリカで繁栄した多くの角竜類の祖先となった可能性がある、ということがわかったのです。

アクイロプス、鷲顔の角竜類

福井県立恐竜博物館の、アクイロプス復元図。

アクイロプスという学名の意味は、アクイラ=ラテン語で鷲(ワシ)とか、「カギ型に曲がった」の意で、オプスは「顔」です。

アクイロプスはツンと尖ったワシのようなクチバシの先にナゾの突起があります。

ナゾの突起の用途は分かっていませんが、食性に関係があるのかもしれません。

植物をより分けたり、鞘や茎を裂いたりして中身を取り出すようなエサを食べていたのかもしれません。

胴体が見つかれば、なにか手がかりが見つかるかもしれませんね。

渡米したアクイロプス。うまいものを見つけた。

アクイロプス、描いてみた

アクイロプスは頭骨しか見つかっていないので胴体は推測です。

描く際の特徴としては、上あごの先端にはワシに似たクチバシ+ナゾの突起、下あごのクチバシは曲がらずまっすぐ尖っています。

眼窩(がんか:目の穴)は大きく、左右に長い楕円形、鼻の穴は小さく丸いです。

襟飾りはほとんど目立たず、頬の横のでっぱりも弱めです。


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