翼竜類とは
翼竜類は中生代に栄えた爬虫類の一種で、翼を持ち、羽ばたいて空を飛ぶことに適応していました。
脊椎動物初の空を飛ぶ生物で、中生代 白亜紀末期(6600万年前)に恐竜類と共に絶滅しています。
滑空から飛翔へ
翼竜類は脊椎動物初の空を飛ぶ生物です。
翼竜類以前にも皮膜を使って滑空する生物はいましたが、翼を使って羽ばたいて飛ぶ脊椎動物は翼竜類、鳥類、コウモリ類(哺乳類)だけです。
翼竜類は滑空する爬虫類から進化した、とする説が有力ですが、翼を持つ以前の姿は分かっていません。
爬虫類の中の翼竜類の分類
翼竜類は、爬虫類の中の主竜類(しゅりゅうるい)というグループに含まれます。
主竜類は、鳥類、ワニ、トカゲ、カメ、ヘビ、恐竜類などが含まれる大きなグループです。
翼竜類が主竜類の中のどのグループに分類されるのか研究者によって諸説ありますが、恐竜類に近縁であるとする説が有力です。
一番有力な説の分類だと翼竜類はここらへん。
翼竜は恐竜の一種と間違われることが多いのですが、恐竜類と翼竜類は共通の祖先から枝分かれした別のグループであることがわかります。
翼竜類の翼
翼竜ズンガリプテルスの化石。
大きな翼、寸詰まった短い胴体、小さい後肢など、シルエットは鳥類に似ています。
鳥類とは違い、翼竜類の翼は長く伸びた第4指(薬指)と後肢の間に皮膜を張ったものです。
手首にある翼支骨(よくしこつ)と首の間、後肢と尻尾の間にも皮膜があり、少しでも翼の面積を広げようと必死です。
翼は皮膚でできており、丈夫なスジで補強されていたと推測されています。
何種類かの翼竜化石には羽毛か体毛のような痕跡が残っていて、体温を逃がさない仕組みを持った種類がいたことがわかっています。
翼竜の持つ毛のようなものは「ピクノファイバー」と呼ばれ、全身がピクノファイバーに覆われていた説や、翼にはピクノファイバーは無かった、とする説があります。
コウモリ(哺乳類)の場合は翼には毛がありませんが、体にはモフモフの毛が生えています。
アブラコウモリの背中。
一部の翼竜類も似たような感じだったかもしれません。
翼竜類の系統図
翼竜類は大きく2系統、ランフォリンクス類とプテロダクティルス類に分けられます。
有名な翼竜類を大雑把に分類するとこんな感じ。
最初に現れたのはランフォリンクス類で、プテロダクティルス類よりも一足先に絶滅しています。
ランフォリンクス類とプテロダクティルス類の違いは明確で、化石を見るだけで違いが分かります。
ランフォリンクス類の特徴
ランフォリンクスの頭骨。ランフォリンスク類は、眼窩よりも鼻先に2つの孔(前眼窩窓と鼻孔)があります。
ランフォリンクスの前肢(翼)。ランフォリンクス類の翼は手の甲がとっても短いのです。
手の甲が短いのは、地面に降りることが少なく歩き回ることが無かったため、とされています。
その他、尻尾が長い、首が短い、頚肋骨(けいろっこつ)がある、という特徴があります。
地面に降りるよりも樹木や岩場などにしがみ付きやすい姿勢をとっていたらしいので首は短く、
頭の付き方がプテロダクティルス類とは違い、頭を前方に伸ばして飛んでいたと推測されています。
プテロダクティルス類の特徴
プテロダクティルス類のズンガリプテルスの頭骨。眼窩よりも鼻先に孔が一つしかありません。
プテロダクティルス類の前眼窩窓と鼻孔は癒合し、鼻前眼窩窓(びぜんがんかそう)という孔になっています。
ズンガリプテルスの前肢(翼)。プテロダクティルス類は大型小型に関わらず、手の甲が長いのです。
その他、尻尾が短い、頚肋骨(けいろっこつ)が無い、という特徴があります。
頭の付き方はランフォリンクス類とは違い、頭をやや下方向に下げて飛んでいたと推測されています。
また、地面を歩き回ることが多く、四足歩行で歩きやすい姿勢をとっていたようです。
翼竜類の謎
翼竜類の系統図を見ると、ランフォリンクス類は三畳紀後期からがジュラ紀後期にかけて繁栄し、ジュラ紀の末期くらいには衰退→白亜紀前期頃には絶滅しています。
以降プテロダクティルス類が繁栄するのですが、プテロダクティルス類では白亜紀後期から末期にかけて、翼開長5mを越える超大型種しか見つかっていません。
生物が進化すると、いずれ大型種が現れて小型種と共にさらに繁栄して行くのですが、翼竜類の場合は大型種の登場とともに小型種が衰退絶滅という不思議な進化をしています。
理由としては、ジュラ紀後期頃に現れた鳥類との競合によって小型種(ランフォリンスク類とプテロダクティルス類含む)が衰退絶滅し、
鳥類と競合していなかった超大型種のみが繁栄した、とする説があります。
もし白亜紀末の大量絶滅が発生しなかったとしても、翼竜類は鳥類との生存競争によっていずれ絶滅する運命だったのかも・・・。