ランフォリンクスはジュラ紀後期のドイツやイギリスにすんでいた翼竜類です。
アーケオプテリクス(始祖鳥)が見つかることで有名なゾルンホーフェンから状態の良い化石が見つかっていて、翼竜類の中ではよく研究されている種類の一つです。
ランフォリンクス
学名:Rhamphorhynchus muensteri(ランフォリンクス・ムエンステリ)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 翼竜目 ランフォリンクス亜目 ランフォリンクス科
時代:中生代 ジュラ紀後期
翼開長:約1.8m
発掘地:ドイツ、イギリス
学名の意味:クチバシの鼻先
どんな翼竜?
ランフォリンクスはジュラ紀後期(チトニアン:約1億5210万年前~約1億4500万年前)のドイツやイギリスにすんでいた翼竜類です。
翼開長は最大1.8m。ヒトと比べるとこれくらい。
ランフォリンクスの特徴
ランフォリンクスは、前方に突き出した細長い歯と、胴より長い尻尾が特徴です。
翼の皮膜(翼膜)の痕跡が残った化石から、翼は幅が狭く後肢までつながっていたこと、後肢と尻尾の間にも皮膜があったことがわかっています。
尾の先端には凧(たこ)みたいな膜があり、尻尾の凧は幼体と成体で形が違っていて、卵型→ひし形→最終的には三角形に変化していったようです。
ランフォリンクスの分類
ランフォリンクスの分類はここらへん。
ランフォリンクス類の代表種ですが、ランフォリンクス類の中では現れたのが後の方で、ジュラ紀末期には絶滅しています。
出歯で何を食べていた?
ランフォリンクスの頭骨。出歯です。
ランフォリンクスは、胃の内容物やフン化石から、魚やイカなどを食べていたことがわかっています
歯は前方へ突き出していますが、口を閉じると上下の歯がちゃんと交差するように並んでいました。
獲物の採り方には諸説あって、飛びながら引っかけた説、海鳥のように水上に浮いて潜って採った説などがあります。
海鳥のように浮くことができた説は、根拠が無いトンデモ説ではなく、
実際に、肉食魚の胃からランフォリンクスの骨が見つかったり、肉食魚と一緒に化石になっているランフォリンクスが見つかっていることが根拠になっていてます。
浮いている時や潜水時に肉食魚に狙われることが多かったのかもしれません。
鞏膜輪でわかる翼竜の活動時間
現生のトカゲや鳥類には、眼球を支えるドーナツ状の骨「鞏膜輪(強膜輪:きょうまくりん)」を持つものがいます。
翼竜類や恐竜類の化石からも鞏膜輪が見つかっています。
恐竜、オルニトミムスの鞏膜輪。
近年の研究で、夜行性の生物は、鞏膜輪の外側の直径に対して内側の直径が大きいこと、
昼行性の生物は、外側の直径に対して内側の直径が小さいことが判明し、翼竜類の半数が夜行性だったと推測されています。
ランフォリンクスは鞏膜輪の残る化石から、夜行性だったと推測されています。
同じく、鞏膜輪の残る化石から、アーケオプテリクス(始祖鳥)は昼行性だったと推測されています。
同じ時代、同じ場所にすんでいても、ランフォリンクスとアーケオプテリクスが出会うことは少なかったのかもしれません。
ランフォリンクス描いてみた
ランフォリンクスが群れを作っていたかどうかは不明ですが、ジュラ紀後期のドイツでは、夕方になるとあちこちからランフォリンクスが現れ、海へ向かって飛んで行く光景が見られたのかもしれません。
大きな眼窩、歯はすべて前方へ飛び出し、首は短く、頭は首に対してまっすぐ付いています。
夜行性なら派手な体色や目立つ模様ではなく、フクロウやヨタカみたいな目立たない体色だったかもしれません。