スコミムス
スコミムスは中生代 白亜紀前期のアフリカ(ニジェール)にすんでいた獣脚類です。
顔の幅が狭く、口先が細長く、現生の魚食性のワニに似た顔をしているのが特徴です。
スコミムスの含まれるスピノサウルス科の恐竜は、円錐形の歯やワニに似た口先を持つグループで、化石はかつて水辺だった場所からしか発見されていません。
スコミムスを含むスピノサウルス科の仲間は半水生の恐竜だったのではないか、と考えられています。
スコミムス
学名:Suchomimus tenerensis(スコミムス・テネレンシス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 獣脚亜目 メガロサウルス上科 スピノサウルス科
時代:中生代 白亜紀前期
体長:11m
発掘地:ニジェール
学名の意味:ワニもどき(スクス=ワニ、ミムス=もどき)
ワニ顔の恐竜
スコミムスは白亜紀前期(アプチアン:約1億2500万年前~約1億1300万年前)のアフリカにすんでいた恐竜です。
体長11m、推定体重900kg~3.6t。
ヒトと比べるとこれくらい。頭骨だけでも1mくらいはあります。
長い顔、長い首、尻尾も長いです。
背骨の棘突起も高く伸びています。低い帆があったか背中が盛り上がっていたと考えられています。
学名の意味はワニに似た顔から、スクス=ワニ、ミムス=もどき、でスコミムス。
こちらは現生の魚食性のワニ。クロコダイルの一種。
photo by :pixabay
どう?。スコミムスに似てる?。
分類
スコミムスの分類はここらへん。
なんでメガロサウルスの仲間??、と思うかもしれませんが、
メガロサウルス上科に含まれるクループの一つがスピノサウルス科で、スピノサウルス科には、スピノサウルス、コンカヴェナトル、イリテーター、バリオニクスなどが含まれます。
この仲間は細長く伸びた顔と円錐形の歯を持つのが特徴で、化石は当時水辺だった場所からしか見つかっておらず、口や歯の形から魚食性のグループだったと考えられています。
完全な魚食だったかどうかは諸説あり、胃のあたりからチョウザメ類のウロコの他、恐竜類の幼体化石が見つかっていたり、翼竜類の化石の首からスピノサウルス類の歯が見つかっているので、水辺に来た生物なら何でも食べたのかもしれません。
頭骨
スコミムスの頭骨です。
頭骨には大きな孔があり、頭は軽くて扱いやすかったようです。
眉間から鼻先にかけて低いトサカ、眼窩の上にはトサカ的なものがあったのか、ギザギザしています。
スコミムス、正面。
眼窩はほぼ正面を向いていて、口先は細くなっています。
鼻先がブツブツしているのは、口先に神経や血管がたくさん集結して敏感なセンサーになっていたためです。
頭骨てっぺんにある頭頂骨もご立派なので、後頭部の首の付け根あたりは筋肉質。
首を前後に動かしたり、振り回したりする動きが得意だったのかもしれません。
スコミムスの歯の数は上下あわせて130本近くあり、円錐形です。
ティラノサウルスやアロサウルスなど、肉食性の獣脚類はカーブを描いてナイフのような薄い歯を持ち、獲物に突き刺したり皮や肉を裂いたりしますが、スコミムスの歯は円錐形で、カーブがほとんどありません。
これは魚などのすべる獲物を逃がさない造りです。捕まえたら丸呑みすればよいので肉を裂く歯はいらないのです。
スコミムス、描いてみた
スコミムスを描いてみました。
口先に行くほど左右の幅が狭くなる顔。口先にはヘコミがあって獲物を逃がさない造りです。
スコミムスの前肢は三本指。第一指(親指)が特に大きいカギ爪になっています。
魚を引っかけたり抑えたりするために大きなカギ爪を使った、とされています。