ユロン
ユロンは白亜紀後期の中国にすんでいたオビラプトロサウルス類です。
見つかっているのはすべて幼体で、オヴィラプトロサウルス類の成長スタイルや食性が判明するカギになるかもしれない恐竜です。
ユロン
学名:Yulong mini(ユロン・ミニ)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 獣脚亜目 オヴィラプトロサウルス類 オヴィラプトル科
時代:中生代 白亜紀後期
体長:50cm
発掘地:中国 河南省 洛陽市
学名の意味:豫(ユ:河南省の古い地名)のトカゲ(竜:中国語でロン)
恐竜のこども
ユロンは白亜紀後期の中国にすんでいたオヴィラプトル類(オヴィラプトロサウルス類)です。
見つかっているのは全て幼体で、画像のユロンは体長は50cmほど、生後まもなく~数週間で死んだ幼体の化石とのことでした。
ユロンの後肢は活発に走り回るような作りにはなっておらず、オヴィラプトル類が植物食だった証拠の一つとされています。
ユロンの頭骨です。
やや寸詰まりの頭骨、口先はクチバシになっていて、眼窩(がんか:目の穴)は大きくて丸く、幼体らしく丸っこいです。
ユロンが成長すると?
ユロンが成長すると、どのような姿になったのでしょう。
たぶん、こんな感じに・・。
オヴィラプトルの成体復元動刻です。福井県立恐竜博物館のアニマトロニクス。
オヴィラプトロサウルス類には、オヴィラプトルやアヤンチインゲニア、インキシボサウルス、ギガントラプトルなどが含まれます。
この仲間は白亜紀前期から後期に繁栄した進化型の獣脚類で、原始的な仲間以外は寸詰まりの頭骨に歯の無いクチバシを持ち、少なくとも前肢と尻尾に羽毛があったことがわかっています。
胃石が見つかっていることやユロンの化石などから一部の仲間は植物食だったようですが、食性はわかっていません。
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コンコラプトル、貝を食べていた?トサカのないオヴィラプトル類
オヴィラプトロサウルス類の巣
恐竜類は、種類によって卵の形や巣の形が異なります。
オヴィラプトロサウルス類の巣と卵です。(巣を底から見た状態の化石)
オヴィラプトロサウルス類の卵は細長い楕円形で、卵の大きさはオヴィラプトロサウルス類の種類にもよりますが、15cm~50cm程です。
巣は扇状地や平地に作られ、フチを盛り上げて作った円形の巣に、円形に並べて卵を産んでいました。
円形の真ん中の空間に親が座って卵を保護していたようです。
卵は2~3層に詰み上がっていて、土砂や植物で覆われていました。
多いものでは一つの巣に30個以上の卵があるため、複数のメスが共同で産卵していた可能性もあります。
ギガントラプトル級の大型のオヴィラプトロサウルス類の巣も見つかっていて、卵は大きさ50cm、巣の直径は2mという巨大なものでした。
小型のオヴィラプトロサウルス類とは違い、重みでつぶさないため、卵は一層でした。
恐竜類は一度に2個の卵を産むことができた
なぜ、卵や巣がオヴィラプトロサウルス類のものであると分かるのかというと、卵の中に胚(産まれる前の胎児)の化石が残っていたり、抱卵中の親の化石が見つかったりしているからです。
↓こんな化石も見つかっています。
体内に2個の卵を持っているオヴィラプトロサウルス類の化石です。
少なくとも恐竜類の一部は、卵を作る器官が左右に一対(計2つ)あり、一度に2個の卵を作ることができました。
これはワニやカメと同じ卵の産み方で、ワニやカメも卵を産む器官は恐竜と同じく一対(計2つ)で、出来た卵を輸卵管に溜めておいてまとめて産みます。
たくさんの卵を体に溜めておくために一個一個の卵は小さくなっています。
恐竜類が、2個の卵ができ次第産んでいたのか、出来た卵を産まずに溜めておいて、まとめて一度に産んだのかは恐竜の種類によって異なるようです。
恐竜類の子孫である鳥類は、卵を作る器官が一つしかありません。
元々一対(計2つ)あったものが、多くの鳥は片方(右側)が退化しています。
(飛ぶために)卵を溜め込んでおくことができないため、卵が出来しだい産み落とします。
溜めておく必要が無いので一個一個の卵は大きく、胚(生まれる前の胎児)は大きく育ってから産まれます。