プテロダクティルスは、ジュラ紀後期のドイツにすんでいた翼竜類です。
1784年に発見された最初の翼竜類で、当時は翼で飛翔する生物だとする研究者は少なく、首長竜や魚竜類のような水生生物である、とされていました。
19世紀初めにジョルジュ・キュビエが「翼を持つ飛翔する爬虫類である」と発表した後も、とんでもない復元図が発表されています。
プテロダクティルス
学名:Pterodactylus antiquus(プテロダクティルス・アンティクウス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 翼竜目 プテロダクティルス亜目 プテロダクティルス科
時代:中生代 ジュラ紀後期
翼開長:約1.5m
発掘地:ドイツ
学名の意味:翼の指(プテルス=翼、ダクティルス=指)
最初に見つかった翼竜類
プテロダクティルスはジュラ紀後期(チトニアン:約1億5210万年前~約1億4500万年前)のドイツにすんでいた翼竜類です。
翼開長約1.5m。ヒトと比べるとこれくらい。
プテロダクティルスはアーケオプテリクス(始祖鳥)やランフォリンクスと同じ地層から発見されます。
鞏膜輪から昼行性だと推測されているので、同じ昼行性だとされているアーケオプテリクスとはすみかや獲物で争うこともあったかもしれません。
発見当時の珍説
プテロダクティルスは1784年にイタリアの博物学者コズモ・コリーニによってドイツのアイヒシュテッドで発見されました。
状態の良い化石だったにもかわからず、奇天烈な骨格から首長竜や魚竜などに近い水生生物とされ、翼はヒレだと考えられました。
1809年にフランスの比較学者ジョルジュ・キュビエによって、長く伸びた指に翼を持つ爬虫類であると推定され、「翼の指」という意味の学名、プテロダクティルス(Pterodactylus)と命名されました。
飛翔生物として描かれた復元図。
キュビエによって命名された以降も、水生生物だの飛翔生物だのと論争が続き、1837年にヘルマン・メイヤーによって翼竜類の骨に気嚢(きのう:鳥類にもある空気の入る空洞)が発見され、飛翔するために特殊化した爬虫類であることがほぼ証明されたのです。
飛翔する爬虫類だってのに有袋類(哺乳類)だとかコウモリ(哺乳類)だとかの珍説が続々。
どうしてこうなった。オポッサム(北アメリカの有袋類)の顔に復元された翼竜。
プテロダクティルスの分類
プテロダクティルスの分類はここらへん。
プテロダクティルス類の代表種で、この仲間の中では最も原始的です。
鼻前眼窩窓がある、首が長い、手首が長い、頚肋骨が無い、足の第5指(足の小指)が短い、尻尾が短い、というプテロダクティルス類に共通する特徴をすべて持っています。
プテロダクティルス以降に現れた全ての翼竜類は、プテロダクティルスの特徴を引き継いでいるということになります。
進化させたり退化させる理由が無いほど洗練されていた、ということなのかもしれません。
プテロダクティルス描いてみた
プテロダクティルスはたくさんの化石が見つかっていて、喉の部分に袋があったこと、幼体と成体では顔と首の長さが違うことがわかっています。
幼体と成体では食べるものや採取方法が異なっていたのかもしれません。
成体は魚食性、幼体は昆虫食(磯にすむゴカイや虫など)だったとする説もあります。
翼は後肢までつながっていますが、足首まで翼幕が繋がっていたランフォリンクスとは違い、
後肢の膝か太モモくらいまでしか繋がっておらず、地上を歩き回りやすくなっていたようです。