カルカロドントサウルスは、白亜紀前期~後期のアフリカ北部にすんでいた獣脚類です。
体長12m、頭骨だけで約1.5m。
ティラノサウルスに匹敵する大型獣脚類で、同じ仲間には、ギガノトサウルスやアクロカントサウルスなどが含まれます。
カルカロドントサウルス(頭骨)
学名:Carcharodontosaurus saharicus(カルカロドントサウルス・サハリクス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 獣脚亜目 アロサウルス上科 カルカロドントサウルス科
時代:中生代 白亜紀前期~後期
体長:12m(頭骨約1.5m)
発掘地:モロッコ
学名の意味:ホホジロザメ(学名:Carcharodon carcharias)のトカゲ
サメの歯を持つ大型獣脚類
カルカロドントサウルスは、白亜紀前期の終わり頃~白亜紀後期の初期(アプチアン~セノマニアン:約1億2500万年前~約9390万年前)のエジプト、ニジェール、アルジェリア、モロッコにすんでいた獣脚類です。
体長12m、推定体重6tの大型獣脚類です。
ヒトと比べるとこれくらい。
最初に学名がつけられた化石は戦禍で失われ、残った資料からアロサウルス並みに前肢が長かったことが分かっています。
後に状態の良い頭骨が見つかっていますが、頭骨以外はほとんど見つかっていません。
学名の由来
「カルカロドン」は”ノコギリの歯”という意味で、ホホジロザメ(ホオジロザメ)の学名です。
カルカロドントサウルスの歯が、サメの歯のように薄く、鋸歯がギザギザしているところから学名がつけられました。
カルカロドントサウルスの仲間には、ギガノトサウルス(南米)、マプサウルス(南米)、アクロカントサウルス(アメリカ)などが含まれます。
白亜紀に繁栄した大型獣脚類のグループで、スカスカで上下に高さのない、のーんと伸びた長くて大きい頭骨を持ち、湾曲の浅い、薄くて鋸歯のギザギザした歯を持つのが特徴です。
歯の湾曲は柿の種
カルカロドントサウルスの頭骨です。大きさは1・5mほど。
上下に高さが無く、左右に幅がせまく、のーんと伸びた長い顔です。
眼窩の上から鼻孔にかけて、ゴツゴツのザラザラの隆起が伸びています。何らかの装飾があったのでしょう。
頭骨の表面もボコボコしているので、生きていた時の顔はゴジラのようなゴツゴツした顔だった、と考えられています。
正面から見たカルカロドントサウルス。歯に厚みがなく薄いのが分かります。
顔の幅も左右に狭く、薄いです。
カルカロドントサウルスの歯は湾曲が浅い。柿の種くらいのカーブ。
骨を噛み砕く歯というよりは、肉を裂く歯です。獲物に傷を負わせ、弱ってから再度襲ったのかもしれません。
ティラノサウルス類の歯は、”バナナ型”と呼ばれるほど湾曲していますが、カルカロドントサウルスの仲間の歯はあまり湾曲しておらず、鋸歯(歯のフチのギザギザ)が大きいのが特徴です。
上記の画像でも、歯のフチがギザギザしているのがわかります。

戦禍に巻き込まれた化石
第二次世界大戦中に爆撃を受け、ドイツのミュンヘン博物館にあったスピノサウルスの化石が失われた話はよく知られています。
じつはカルカロドントサウルスの化石もその時に失われています。
カルカロドントサウルスが最初に見つかったのは1927年と古く、歯だけであったため、メガロサウルスの一種(Megalosaurus saharicus)とされていました。
その後、頭骨と体の一部が見つかり、メガロサウルスとは別属の新種として、カルカロドントサウルス(Carcharodontosaurus saharicus)という学名がつけられ、ドイツのミュンヘン博物館に保管されていました。
ミュンヘン博物館に保管されていたスピノサウルスとカルカロドントサウルスは、ドイツの古生物学者エルンスト・シュトローマが北アフリカで発掘したものでした。
彼は博物館にある化石の退避を強く希望しましたがかなわず、結果、化石と調査資料のほとんどが失われました。
博物館にあったカルカロドントサウルスの化石は失われましたが、
後にとても状態の良い頭骨化石が発掘されたため、戦禍で失われた化石であることはあまり知られていないのです。
(体はほとんど見つかっていませんが)
エルンスト・シュトローマの死後、
彼が見つけたエジプトの化石発掘地から、竜脚類 ティタノサウルス類「パラリティタン・ストロメリ(Paralititan stromeri)」が見つかっています。
パラリティタンの種小名「stromeri」は、エルンスト・シュトローマの功績を称えてつけられたものです。