中生代の生物 恐竜・獣脚亜目

オルニトミムス/Ornithomimus

オルニトミムスは、後期白亜紀のアメリカやカナダにすんでいた獣脚類です。

オルニトミムスの仲間は、現生のダチョウに良く似たスタイルをしているため、別名「ダチョウ恐竜」とも呼ばれます。

植物食性だと考えられていましたが、クチバシにスリット状の構造が見つかったため、ろ過食性の可能性もある、とされています。

オルニトミムス
オルニトミムス
学名:Ornithomimus edomontonychus(オルニトミムス・エドモントニクス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 獣脚亜目 オルニトミムス科
時代:中生代 後期白亜紀
体長:3.5m
発掘地:カナダ アルバータ州
学名の意味:鳥もどき(オルニス=鳥、ミムス=もどき)

ダチョウ恐竜

オルニトミムスは、後期白亜紀(マーストリヒチアン:約7210万年前~約6600万年前)の北アメリカにすんでいた獣脚類です。

歯のないクチバシを持ち、長い首、長い脚。長いシッポが無ければダチョウに良く似た姿をしています。

体長3.5m、推定体重90~200kg。

ヒトと比べるとこれくらい。
オルニトミムス

イチイチ君
イチイチ君
ダチョウの体長は2mほどなので、ダチョウよりもシッポのぶんだけ長い感じです。

オルニトミムスは後肢のひざから下がとても長く、時速60~80kmで走ることができた、と推測されています。

走る速さは恐竜界ナンバーワンだったようです。

学名の由来

オルニトミムスの学名は、オルニス=鳥、ミムス=もどき、で「鳥もどき」という意味です。

鳥のように目が大きく、口先はクチバシだったので、見た目も鳥によく似ていたかもしれません。

「ミムス」は、学名でよく使われる単語で、ガリミムス(ニワトリもどき)、スコミムス(ワニもどき)、スキウルミムス(リスもどき)などがいます。

オルニトミムス

大きな鞏膜輪

オルニトミムスの頭骨です。眼窩にある輪っかは、強膜輪(きょうまくりん、鞏膜輪)と呼ばれる骨です。
オルニトミムス

強膜輪の役割ははっきりしていませんが、大きな目玉を支えるための骨という説、焦点を合わせるための補佐をする骨、という説があります。

化石に残ることは珍しいのですが、ほとんどの恐竜類は強膜輪を持っていたと考えられています。

イチイチ君
イチイチ君
魚にも鞏膜輪があるので、爬虫類や鳥類は強膜輪を退化させずに利用したのではないか、と考えられています。哺乳類に強膜輪を持つ種類はいません。祖先が夜行性であったため、強膜輪は必要が無くなり退化したのかもしれません。

何を食べていた?

オルニトミムスの仲間は、原始的な仲間を除いて歯がありません。

何を食べていたのかは諸説あったのですが、胃石(植物をすりつぶすために飲み込んだ石)のある化石が見つかっていることから植物を食べていた、と考えられていました。

近年、オルニトミムスのクチバシにスリット状のスジスジが見つかり、ヒゲクジラやフラミンゴのようなろ過食だったのではないか、とする説が出てきました。

イチイチ君
イチイチ君
フラミンゴは、クチバシにあるブラシで水中のプランクトンを濾して食べます。オルニトミムスの化石から見つかったスリット状のスジスジは、クチバシにあったブラシを支える土台の跡ではないか、と考えられています。

フラミンゴのクチバシにあるスジスジがブラシの土台。口を開けるとブラシがある。
フラミンゴ
photo by :pixabay

羽毛は成体の証

オルニトミムスは、幼体から成体の化石が見つかっていて、成体は幼体よりも前肢の羽根が大きかったことが分かっています。

前肢の羽は飛ぶためではなく、異性へのアピールや性成熟した目印、巣と卵を守るために使われた、と考えられています。

オルニトミムス

オルニトミムス類はよく似ている

オルニトミムス類は、図鑑や画像で化石を見ると、どの種類もとてもよく似ています。

実際の化石では体の大きさのほか、胴の長さ、前肢と後肢の長さや指の長さが種類によってそれぞれ違うので、わりと見分けがつきます。

オルニトミムスの四肢です。
オルニトミムス

オルニトミムスは、ほかのオルニトミムス類よりも胴が短い、前肢がほそい、後肢の爪が細長いという特徴があります。


広告