新生代の生物 絶滅哺乳類

アンドリュウサルクス、6本牙でヒヅメを持っていた史上最大級の陸生肉食動物

アンドリュウサルクス(アンドリューサルクス)

アンドリュウサルクスは、新生代 古第三紀 始新世中期(約4130万年前~約3780万年前)のアジアにすんでいた大型の肉食動物です。

体長は推定3.5m。陸生の肉食性の哺乳類では史上最大級です。


アンドリュウサルクス
学名:Andrewsarchus sp.(アンドリュウサルクスの一種)
分類:哺乳網 メソニクス目 トリイソドン科
時代:新生代 古第三紀 始新世中期
体長:推定3~3.5m
発掘地:中国、モンゴル
学名の意味:アンドリュース(人名)を導く者

でっかい頭に6本牙の肉食動物

アンドリュウサルクスは、新生代 古第三紀 始新世中期(約4130万年前~約3780万年前)のアジアにすんでいた大型の肉食動物です。

頭がとても大きくて四肢が短く、上あごの犬歯のすぐ後ろの切歯が犬歯よりも大きくなっており、でっかい頭に6本の牙を持つ恐ろしい肉食動物でした。

頭骨は口先が細長く、絶滅した偶蹄類「アーケオテリウム」や「エンテロドン」などのイノシシの親戚の頭骨に少し似ています。

こちらは鯨偶蹄目(ウシ目)エンテロドンの頭骨。

アンドリュウサルクスの頭骨も少し似ていて、幅のあるデカ頭で口先だけが細長く伸びています。

変な名前の由来

学名の「アンドリュウサルクス」とは、「アンドリュース(人名)を導く者」という意味です。

元となったアンドリュース氏は、映画インディジョーンズのモデルとなった人物です。

ロイ・チャップマン・アンドリュース氏。福井県立博物館の展示写真です。

アンドリュース氏は、アメリカ自然史博物館の学芸員で、発掘探検隊を率いてモンゴルに渡り、アンドリュウサルクスの他、世界で始めて恐竜の巣と卵(プロトケラトプスの卵)を発掘しました。
恐竜プロトケラトプスの一種「プロトケラトプス・アンドリューシ」も発見者のアンドリュウス氏の名前に由来しています。

角竜類のプロトケラトプス・アンドリューシ。

史上最大級の陸生肉食哺乳類

アンドリュウサルクスは、見つかっている頭骨が長さ約85cm。

頭骨以外の化石は部分的にしか見つかっておらず、体長は推定で3.5m、
陸生の肉食性の哺乳類では史上最大級です。

ヒトと比べるとこれくらい。大きい!!。

イチイチ君
イチイチ君
現生の陸生の肉食性の哺乳類で最も大きいのはトラとホッキョクグマで、体長3mです。海の肉食性哺乳類で最も大きいのは体長34mのシロナガスクジラです。

イヌやネコの仲間ではないよ

アンドリュサルクスは肉食動物ですが、イヌやネコなどの食肉目(ネコ目)の仲間ではありません。

現生の哺乳類の分類では、獲物を狩って食べる肉食動物のグループは「食肉目(ネコ目)」だけですが、絶滅した哺乳類グループには「食肉目」以外に、「メソニクス目」と「肉歯目(にくしもく)」という別の肉食性のグループがいました。

アンドリュウサルクスは「メソニクス目」に分類されます。

「メソニクス目」は、ヒヅメを持つ哺乳類グループから進化した肉食動物で、アンドリュウサルクスもカギ爪ではなくヒヅメを持っていました。

ヒヅメなので、木には登れない。

生きた獲物を捕らえることもあったでしょうが、アンドリュウサルクスの歯は肉を切り裂くいうよりは、骨を砕くような太くてゴッツイ歯だったことから、腐肉食だったと考えられています。

カギ爪で引き裂くことができないので、クロコダイルツイストで獲物を食いちぎるワニのように、大きな頭を振り回して肉を食いちぎったのかもしれません。

犬歯はあまりするどくないので、もしかしたら雑食で、イノシシ的なブタ鼻だったのかも・・。


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