カマラサウルスは、ジュラ紀後期の北アメリカにすんでいた大型の竜脚類です。
竜脚類代表のような恐竜ですが、調べると意外に知らなかったことが多いです。
カマラサウルス(幼体)
学名:Camarasaurus lentus(カマラサウルス・レンツス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 竜脚形亜目 竜脚下目 カマラサウルス科
時代:中生代 ジュラ紀後期
体長:約8m
発掘地:アメリカ ワイオミング州
学名の意味:(背骨が)空洞のトカゲ
カマラサウルスの大きさは?
カマラサウルスは、ジュラ紀後期(キンメリッジアン~チトニアン:約1億5730万年前~約1億4500万年前)の北アメリカにすんでいた竜脚類です。
北アメリカではもっともポピュラーな竜脚類で、1877年に始めて記載されて以降、たくさんの化石が見つかっています。
最大体長18m、推定体重23t。竜脚類では中型です。
ヒトとくらべるとこれくらい。
中型でもかなり大きいけどね。
カマラサウルスの分類
竜脚形亜目(竜脚形類)の分類では、カマラサウルスはここらへん。
カマラサウルスは、ディプロドクスよりも少し進化型、ブラキオサウルスよりも少し古いタイプだとされています。
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ブラキオサウルス、頭のてっぺんが鼻モッコリ、前肢が後肢よりも長い大型竜脚類
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カマラサウルスの特徴
カマラサウルスは、進化型の竜脚類としては首も尻尾も短めです。
カマラサウルスの前肢の上腕骨(じょうわんこつ:腕の骨)は、後肢の大腿骨(だいたいこつ:太モモの骨)と同じ長さか、ほんの少し短いくらいなので、背中はほぼ水平です。
ディプロドクスのように尻尾の先がムチのように細長~くなっていないのと、竜脚類にしては頭がでかいのでなおさら全身がコンパクトに見えます。
カマラサウルスの首の骨の数は12個で、首の下にある頚肋骨(けいろっこつ)は、細長く伸びていて、重なり合っているのが特徴です。
カマラサウルス・レンツス(幼体)の頚肋骨。
ディプロドクスやブラキオサウルスの頚肋骨は重なり合っていません。
ブラキオサウルスの頚肋骨。かなり細長いけど重なっていない。
福井県立恐竜博物館のカマラサウルス(種類不明)です。
頭骨以外は、本物の化石を組み立てたものなので、骨盤や大腿骨などがゆがんだりズレたりしています。
背骨にある棘突起(きょくとっき)はあまり高く伸びていません。
胴体が樽(たる)のようにコロンとして見えるのはそのせい。
カマラサウルスの頭骨(本物)。
全身化石から少し離れた場所にガラスケースで展示されています。
粉々に砕けた上に、ゆがんでいます。
化石化してゆく何万年もの間に、埋まっていた地中で何らかのドラマがあったのでしょう。
上の本物の頭骨のレプリカ。
頭骨は上下に高さがあり、前後に寸詰まりで、丸っこく見えます。
鼻孔は眼窩よりも大きく、オデコにあります。
口先にしか歯がないディプロドクスとは違い、歯は顔面の横まで並んでいます。
一個一個の歯は大きく、スプーン型です。
カマラサウルスの歯。
中央がヘコんだスプーン型です。
歯のフチで植物をザクザク噛みちぎっていたようで、かなり固い植物を食べていたと考えられています。
アゴもなかなかゴツくて、シタアゴには高さがあるので、頭骨全体が丸いイメージがありますが・・・。
これ。↓カマラサウルスの頭骨正面。
竜脚類の中ではかなり左右にペタンコで、幅の狭い顔なのです。
ザクザクしたでっかい歯は、隠れていたとしたら鼻の下は長かったのか?。
カマラサウルスの指の数
カマラサウルスの右後ろ足です。
後肢は5本指で、一番大きい指が第一指(親指)、退化したいちばん短い指が第五指(小指)です。
3本だけカギ爪があり、第四指(薬指)と第五指(小指)には爪の骨はありません。
前肢も5本指ですが、第一指(親指)に大きな爪があり、ほかの指には爪の骨はありません。
竜脚類の脳
カマラサウルス・レンツス(Camarasaurus lentus)の幼体です。
竜脚類は、脳函(のうかん:脳をおさめる空間)の半分くらいしか脳ミソが詰まっておらず、体の割に脳が小さいのが特徴です。
カマラサウルス(幼体)の脳エンドキャスト。
前後に短く丸い脳で、脳の下側にある下垂体(かすいたい)を収めるエリアが大きくなっています。
脳の大きさのわりに嗅球は大きいのですが、他の恐竜グループにくらべて嗅覚がとても発達していた、というほどではないようです。
また、獣脚類や原始的な竜脚形類ではみられる小脳片葉(しょうのうへんよう)というバランス感覚と関係のある部分が見られない、という特徴があります。
竜脚類は安定した4足歩行なので、飛んだり跳ねたりする必要がなかったため、小脳片葉が縮小したのかもしれません。
ひっくり返ってゴロンゴロンしたり、高速で走る、後ろ足で立つ、ということは、難しかったかもしれません。