パレオパラドキシア
パレオパラドキシアは、新生代 新第三紀 中新世前期~中期(2000万年前~1300万年前)の日本や北アメリカの海にすんでいた絶滅哺乳類です。
見た目はカバに似ていますが、束柱目(そくちゅうもく)という絶滅した哺乳類グループの仲間です。
パレオパラドキシア
学名:Paleoparadoxia sp.(パレオパラドキシアの一種)
分類:哺乳網 束柱目 デスモスチルス科
時代:新生代 新第三紀 中新世前期~中期
体長:2m
発掘地:石川県、岐阜県、埼玉県、山梨県、北海道、北アメリカ
学名の意味:昔の不思議なもの
海にすむ哺乳類
パレオパラドキシアは、カバに似た水陸両生の絶滅哺乳類で、新第三紀 中新世前期~中期(2000万年前~1300万年前)の日本や北アメリカにすんでいました。
カバ(鯨偶蹄目)に似ていますが、淡水にすむカバとは違い、暖かい海にすむ動物でした。
福井県立恐竜博物館のパレオパラドキシアの骨格。
太い短い胴体、大きい頭、短い四肢をしています。
骨格はもっとカバに似ているかと思ったら、似ていません。
カバはもっと胴体が長くて頭でっかちです。
目が高い場所にあるあたりは、カバと一緒ですが。
パレオパラドキシアは、四肢の骨などに泳ぎに適応した対応が見られることから、沿岸の浅瀬にすみ、ほとんどを海中ですごしていたと考えられています。
パレオパラドキシアの左前肢。
前肢の肘から先の骨、尺骨(しゃっこつ:黄矢印)と橈骨(とうこつ:白矢印)は癒合してくっついちゃってます。
肘から先と手首の骨もほぼ一体化して、手首をひねることが出来ないようになっているので、肘から先を一本のオールみたいに使って泳いでいたのでしょう。
腕ごと回転させないと手首をひねることができないので、陸を歩く時にはかなり難儀したかもしれません。
陸上ではけっこうギクシャクしてたかも。
束柱目(そくちゅうもく)とは
束柱目は、アフリカ獣類(ゾウ、ジュゴン、ハイラックス、ツチブタ、ハネジネズミ、テンレック)に含まれる絶滅グループです。
束柱目の仲間の奥歯は、一個の歯がお寿司の太巻きを束ねたような独特の形をしているので、束柱目(そくちゅうもく)と呼ばれます。
束柱目の仲間の歯。これで1本の歯です。
奥歯がオリジナルすぎて、何を食べていたのかはっきり分かっていません。
海草や藻を食べていたか、貝や甲殻類などの小動物を食べていたのではないか、と考えられています。
パレオパラドキシアではないけど、同じ束柱目の仲間(デスモスチルス)の歯(臼歯)と牙(犬歯)の化石。真ん中の白っぽいのは貝殻。
束柱目の仲間は、北太平洋沿岸(アメリカ、アラスカ、カムチャッカ、日本)から化石が見つかっていて、日本は束柱目の仲間がたくさん見つかる一大産地です。
日本ではパレオパラドキシアの他、アショロア、ベヘモトプス、デスモスチルスの化石が見つかっています。
束柱目の仲間は、中新世中期の後半(1100万年前)頃に地球全体が寒冷化すると絶滅してしまったので、現生哺乳類に近い仲間はいません。
もし地球が寒冷化しなければ、近所の海岸にもカバみたいな不思議な動物がスイスイ泳いでいたかも?。