トルヴォサウルス(トルボサウルス)は、後期ジュラ紀の北アメリカ、ポルトガルにすんでいた肉食恐竜です。
同じ時代の北アメリカにはアロサウルスやケラトサウルスもすんでいました。
後期ジュラ紀のヨーロッパでは最大級の大型獣脚類です。
トルヴォサウルス
学名:Torvosaurus tanneri(トルヴォサウルス・タネリ)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 獣脚亜目 メガロサウルス上科 メガロサウルス科
時代:中生代 後期ジュラ紀
体長:10m(推定最大体長12m)
発掘地:アメリカ コロラド州
学名の意味:獰猛(どうもう)なトカゲ
後期ジュラ紀のヨ-ロッパ最大
トルヴォサウルスは、中生代 後期ジュラ紀(キンメリッジアン~チトニアン:約1億5730万年前~約1億4500万年前)の北アメリカやポルトガルにすんでいた大型の獣脚類です。
現在アメリカとホルトガルは遠く離れていますが、後期ジュラ紀には陸続きになっていた時期があったため、近い種類の仲間がみつかるのです。
体長は推定10~12m、推定体重3.6t~7.2t。
学名の「トルヴォ」は、ラテン語で「獰猛(どうもう)」とか「野蛮(やばん)」という意味です。
ポルトガル リスボン州のトルヴォサウルス、トルヴォサウルス・グルネイ(Torvosaurus gurneyi)の上顎骨(じょうがくこつ:上アゴの骨)と歯。
トルヴォサウルス・グルネイの方は、推定される頭骨の長さは約1.6mで、ティラノサウルス(最大の頭骨の長さ2m)に匹敵します。
両種の違いは歯の数
アメリカ コロラド州のトルヴォサウルス・タネリ(Torvosaurus tanneri)。
トルヴォサウルス・タネリとトルヴォサウルス・グルネイは、歯の数が異なるため、同属別種とされています。
トルヴォサウルス・タネリの成体の上顎骨には片側に11本以上、
トルヴォサウルス・グルネイの上顎骨には多くても片側10本しか歯がありません。
トルヴォサウルスの特徴
トルヴォサウルス・タネリの全身、正面です。
歯の幅は狭くて薄く、骨を砕く歯というよりは、肉を切り裂く歯です。
トルヴォサウルス・タネリの頭骨。
メガロサウルスの仲間は、上下に低く前後に長い頭骨を持ち、大顔の割に顔の幅が左右に狭いのが特徴です。
トルヴォサウルスも長めの顔で、眼窩の上に隆起した突起があります。
この突起は、眼窩上隆起(がんかじょうりゅうき)、とか、涙骨突起(るいこつとっき)と呼ばれるもので、日差しや攻撃から目を保護したり、仲間を識別するなどの役割があったのかもしれません。
トルヴォサウルス・タネリの四肢。後肢は4本指です。
トルヴォサウルス・グルネイの巣と卵
トルヴォサウルス・グルネイと同じ地層から見つかった巣の化石です。
なぜトルヴォサウルスの巣だとわかるかというと、胚(はい:卵の中の、生まれる前の幼体)が残っているから。
赤い○が胚で、周りのカケラみたいなモザイク模様は卵殻(らんかく:卵の殻)。
胚の化石には歯が残っていて、成体の歯にある鋸歯(きょし:ステーキナイフみたいなギザギザ)が無く、上顎骨には片側6本しか歯がありません。
このことから、トルヴォサウルスは成長途中で鋸歯になり、歯の数が増えたことがわかりました。
卵殻の特徴(気孔が多くて複雑に絡んでいる)から、卵は鳥みたいに巣の上に置かれたのではなく、浅く掘った穴に砂か植物で埋められていた、と推測されています。
埋められるタイプの卵の殻は、気孔(卵が息をする穴:卵の殻にあるプツプツ)が多く、巣の上に置かれるタイプの卵は気孔が少ないのです。
恐竜では、鳥類に最も近いとされるグループのトロオドン類が気孔が少ない卵を産みます。
トルヴォサウルスと同じメガロサウルス類のものではないか、と推測される丸い卵。(中国 浙江省 麗水市)。