中生代の生物 恐竜・獣脚亜目

ユウティラヌス、大型でありながら羽毛を持っていたティラノサウルス類

ユウティラヌス

ユウティラヌスは白亜紀前期の中国にすんでいた肉食恐竜で、ティラノサウルスの仲間です。

ユウティラヌスのすごいところは、羽毛の痕跡が見つかった恐竜としては最大(体長9m)であること。

後に現れるティラノサウルス(体長12m)にも羽毛があったのではないかと推測される根拠になった恐竜です。


ユウティラヌス
学名:Yutyranus huali(ユウティラヌス・フアリ)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 竜盤目 獣脚亜目 ティラノサウルス上科 プロケラトサウルス科
時代:中生代 白亜紀前期
体長:9m
発掘地:中国 遼寧省
学名の意味:ユウティラヌス=羽の暴君、フアリ=華麗

華麗なる羽の暴君

ユウティラヌスは、白亜紀前期(バレミアン~アプチアンの境目くらい:約1億2500万年前)の中国にすんでいた原始的なティラノサウルス類です。

体長9m、推定体重1.4tです。

学名の意味は、ユウ=羽、ティラヌス=暴君、フアリは中国語で華麗、
「華麗なる羽の暴君」という意味です。

福井県立恐竜博物館のユウティラヌス復元図。

化石から羽毛の痕跡が見つかっている恐竜ではユウティラヌスが最大種です。

ユウティラヌスが見つかるまでは、羽毛は小型獣脚類と鳥類だけが持つ、と考えられていたため、非常に注目されました。

大型種も羽毛を持っていた可能性があった!というわけで、ティラノサウルス(体長12m)の復元図にも、フッサフッサの羽毛を生やしたものが多くなりました。

羽毛は防寒対策か

ユウティラヌスが体に羽毛を生やしていたのは、防寒対策だったと考えられています。

当時の中国の気候は平均気温が10℃前後で、一時的に寒冷化していました。

体が大きいだけで熱が逃げにくいので寒い環境では小型種より大型種のほうが有利なのですが、ユウティラヌスもやっぱり寒かったのでしょう。

イチイチ君
イチイチ君
羽毛の化石が見つかっているということは、体色についても分かるかもしれません。

ユウティラヌスの特徴

ユウティラヌスの頭骨です。

眼窩(がんか:目の穴)の後ろの穴の形は、ティラノサウルス類特有の「アルファベットのB字型」です。

鼻ヅラには全部で3枚のトサカがあります。

目の上から鼻先に向って低いトサカ、見えにくいですが、目の上から鼻先へのトサカの間に、もう一枚トサカがあります。

トサカは異性へのアピールや、仲間の識別のために使ったのでしょう。

ユウティラヌスの前肢。

ガッシリした腕には、大きなカギ爪の付いた指が3本。

ティラノサウルスのように退化した腕ではないので、狩りの時には腕も使ったのでしょう。

ユウティラヌスの後肢。

鳥のケヅメみたいに後方へ向いているのが、第一指(親指)です。

カギ爪の付いているのが、第二指(人差し指)、第三指(中指)、第四指(薬指)で、第四指のずっと上の方にチョロッと添え木みたいにくっついているのが、退化した第五指(小指)です。

ティラノサウルスでは重い体重を支えるために中足骨がガッチリ結束して三角形になっていますが、ユウティラヌスでは中足骨が結束していません。

足の早い恐竜は中足骨が長いのですが、ユウティラヌスはあまり長くないです。

走って追いかけるよりも、待ち伏せ戦法で獲物を襲ったのか、動きのゆっくりした大型の竜脚類を獲物にしていたのかもしれません。

ユウティラヌスの頭骨を正面から見る。

ゴツイのかと思ったら、以外に頭骨の幅が狭いです。

眼窩が正面を向いていないので、立体視はできなかったようです。


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