アルバートサウルス/Albertosaurus

アルバートサウルス

アルバートサウルスは後期白亜紀の北アメリカにすんでいたティラノサウルス類です。

ティラノサウルス類のうち、ゴルゴサウルスに近縁で、上下に丈の低い頭骨、ほっそりした体を持つのが特徴です。

アルバートサウルスとは

アルバートサウルスは、後期白亜紀の終わり頃（マーストリヒチアン中期～末期：約7060万年前～約６６００万年前）のカナダや北アメリカにすんでいました。

最大体長９ｍ、推定体重９００ｋｇ～３ｔ。

ヒトとくらべるとこれくらい。

老体から幼体までの化石が同じ個所から見つかったことから、群れでくらしていたと考えられています。

アルバートサウルスの分類

アルバートサウルスは、ティラノサウルス科　アルバートサウルス亜科に含まれます。

分類はここらへん（赤字）。

ティラノサウルス科は「ティラノサウルス亜科」と「アルバートサウルス亜科」の２つのグループに分けられています。

ティラノサウルス亜科は、北米とアジアにすんでいた、ガッシリした骨格を持つ重量級のティラノサウルス類で、ティラノサウルス、タルボサウルス、ダスプレトサウルスなどが含まれます。

対してアルバートサウルス亜科は北米にすんでいたティラノサウルス類で、頭骨が上下に低く、やや面長で、ほっそりした体、長い後肢を持つ仲間が含まれます。

アルバートサウルス亜科には、今のところアルバートサウルスとゴルゴサウルスだけが含まれますが、アリオラムスなどの”顔長い系ティラノサウルス類”を含める研究者もいます。

イチイチ君

アルバートサウルスもゴルゴサウルスも、
ティラノサウルス亜科の仲間に比べれば、ほっそりしていますが、
アロサウルスなどと比べれば、ティラノサウルス類らしいゴツイ骨格に見えます。

ゴルゴサウルスとの違い

アルバートサウルスとゴルゴサウルスは、同じアルバートサウルス亜科に含まれ、非常に近縁とされています。

化石を見てわかる違いは、アルバートサウルスのほうが若干前肢がほそく、脳函（のうかん：頭骨の脳が収っている部分）の形が異なる、とされています。

イチイチ君

正直なところまったく区別がつきません。
化石から見分けられるヒトがいたらかなりスゴイ！！。

化石の違いは、個体差や化石のゆがみ程度の違いであるとして両種を同属とする研究者もいます。

１９７０年に、デイル・ラッセル氏によって

『アルバートサウルスとゴルゴサウルスは同属である』、とする説が提唱されたことがあり、
書籍、図鑑、発見された化石などからゴルゴサウルスの名前が消え、

アルバートサウルス・リブラトゥス（Albertosaurus libratus）とされた時期があったのです。

イチイチ君

なお、
同属であれば、
アルバートサウルス（１９０５年）のほうがゴルゴサウルス（１９１３年）よりも先に見つかっているため、ゴルゴサウルスの学名が消えることになります。

化石はそっくりですが、決定的な違いが一つだけあります。

アルバートサウルスとゴルゴサウルスの決定的な違いは、生きていた時代です。

ゴルゴサウルスが後期白亜紀　カンパニアン期後期に絶滅（約７５１０万年前くらいに絶滅か）した後、
後期白亜紀　マーストリヒチアン中期くらいに現れた（約7060万年前に出現か）のがアルバートサウルスです。

ゴルゴサウルスの絶滅後からアルバートサウルスが現れる頃までに北アメリカでは環境が大きく変化しでいます。

イチイチ君

ウエスタンインテリアシーウェイが狭くなり、
ララミディアとアパラチアが陸続きになるなどした他、ゴルゴサウルスが生きていた時代に多様化した角竜類、ハドロサウルス類が激減しています。

アルバートサウルスとゴルゴサウルスでは、獲物となる生物や生息環境がかなり異なったであろうと推測されるため、化石に残らない生態や、生きていた時の見た目は、かなり違っていたかもしれません。

アルバートサウルスの祖先はゴルゴサウルス?

ゴルゴサウルスから約4５０万年後にアルバートサウルスが出現したわけですが、
ゴルゴサウルスはアルバートサウルスの祖先ではない、とされています。

この説が正しければ、アルバートサウルスとゴルゴサウルスの共通の祖先の段階で枝分かれしたか、
まだ見つかっていないティラノサウルス亜科の新種がいたことになります。