マンテリサウルスは、白亜紀前期のイギリスにすんでいた植物食恐竜です。
元はイグアノドンの一種、「イグアノドン・アセルフィルデンシス」という学名でしたが、2007年に新属新種として登録され、マンテリサウルスに改名されました。
マンテリサウルス
学名:Mantellisaurus atherfieldensis(マンテリサウルス・アセルフィルデンシス)
分類:爬虫綱 双弓亜綱 主竜形下綱 恐竜上目 鳥盤目 鳥脚亜目 イグアノドン科
時代:中生代白亜紀前期
体長:5.4m
発掘地:イギリス
学名の意味:マンテル(イグアノドンの発見者)のトカゲ
華奢な方、改名
マンテリサウルスは、白亜紀前期(アプチアン:約1億2500万年前~約1億1300万年前)のイギリスにすんでいた植物食恐竜です。
以前はイグアノドンの一種、イグアノドン・アセルフィルデンシス(Iguanodon atherfieldensis)という学名でしたが、再検討の結果、2007年に新属新種として登録され、マンテリサウルスに改名されました。
イグアノドンのごつい方『イグアノドン・ベルニサルテンシス(Iguanodon bernissartensis)』が骨太でガッチリしているのに対して、『イグアノドンの華奢な方』とか『細身の方』などと呼ばれ、イグアノドンのメスの可能性がある、と紹介する資料もありました。
学名は、イグアノドンの化石の発見者ギデオン・マンテル氏にちなんでつけられたものです。
最大体長約7m、推定体重約900kg~3t。
ヒトと比べるとこれくらい。
マンテル氏とイグアノドン
ギデオン・マンテル(1790~1852年)はイギリスの医者で、自宅に自分で採取した化石を収蔵した博物館を持つほどのガチのアマチュア地質学者。
中生代という古い地層、かつ、どの生物とも判断できない歯であったため、当時の著名な比較解剖学者、ウィリアム・バックランドとジョルジュ・キュビエに調査依頼。
しかし、中生代の地層から発見した歯とは信じてもらえず、魚か大型哺乳類の歯であろうとされたため、マンテルは自身で調査し、1825年に「中生代の植物食の生物で、イグアナと同じ爬虫類で体長12mの大型種である」と論文を発表し、イグアノドンと命名しています。
ジョルジュ・キュビエ氏(1769~1832)は、モササウルスが絶滅海生爬虫類であることを初めて証明した人物で、「全ての生物は神が作った」とする当時の宗教的な概念を打ち破るきっかけになりました。
マンテリサウルスの頭骨。口先はクチバシ。
口先に歯は無く、奥歯は縦に2本並ぶデンタルバッテリー。
イグアノドンとマンテリサウルス比較
頭骨はどちらもウマヅラでよく似ていますが、体はイグアノドンの方が一回り大きく(最大体長約10m)明らかに、骨太です。
また、マンテリサウルスの前肢はかなり短かく、親指スパイクは小さいです。前肢の指は5本、後肢の指は3本です。
マンテリサウルスの前肢。
イグアノドンの前肢。
後肢のツメなども全然ちがいます。
同じ時代同じ場所にすんでいたのですが、体格もかなり違うので、食べ物やすむ場所で競合することがなく、上手にすみわけていたのでしょう。