恐竜類と哺乳類が現れた時代
三畳紀(さんじょうき)は中生代の3つの『紀』のうち、最初の時代です。
今から約2億5200万年前~約2億0130万年前までの約5130万年間が三畳紀。
三畳紀という名前の由来は、南ドイツにある三畳紀の地層が赤、白、茶の3色の層に分かれて重畳(ちょうじょう:重なること)しているところから、三畳紀と呼ばれます。
三畳紀は爬虫類の中の1グループから恐竜類、翼竜類が、単弓類の中の1グループから哺乳類が現れた時代です。
もくじ
三畳紀の大陸配置と三畳紀の生物
三畳紀の大陸配置と三畳紀の生物です。
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参照:ポプラディア図鑑 WONDA大昔の生きもの
三畳紀の大陸は、古生代ペルム紀に引き続き、たった一つです。
ユーラシア大陸、アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリア大陸、 南極大陸ぜーんぶくっついてひと続きの大きな陸地、『超大陸パンゲア』となっていました。
陸上の生物は一続きの陸地を移動することができ、世界中で繁栄しました。
三畳紀初期、古生代ペルム紀末に一旦下がった気温から徐々に暖かくなり、大陸の沿岸部にはシダ植物の森林が広がり、内陸部は乾燥した広大な砂漠が広がっていました。
三畳紀後期にかけて気温は徐々に高くなり、シダ植物の森林は徐々にイチョウなどの裸子植物に置き換わっていきました。
三畳紀末期になると「超大陸パンゲア」は分裂を始めます。
三畳紀に繁栄していたのは哺乳類の祖先
三畳紀に繁栄していたのは、恐竜ではありませんでした。
三畳紀初期に繁栄していたのは、「古生代ペルム紀末の大量絶滅」で多くの種類が絶滅した単弓類(たんきゅうるい:哺乳類の祖先)の生き残りグループ。
そして、三畳紀になってから新しく現れたクルロタルシ類(ワニの祖先グループ)、淡水域には大型両生類の仲間が繁栄していました。
三畳紀を代表する単弓類、リストロサウルス。体長1mの植物食動物です。 レドンダサウルス レドンダサウルスは、三畳紀後期の北アメリカにすんでいた大型爬虫類です。 姿はワニに似ていますが、フィト ...
哺乳類の祖先の親戚とは思えぬシルエットですが、世界中で化石が見つかるほど大繁栄した植物食の動物なのです。
三畳紀に現れたニュータイプの爬虫類グループ、クルロタルシ類。現生のワニ類はクルロタルシ類の唯一の生き残りです。
レドンダサウルス、ワニとは違うのだよ!ワニとは!!三畳紀の巨大爬虫類
陸上では上記の単弓類、クルロタルシ類が繁栄していましたが、三畳紀前期の海では、完全に水中生活に適応した爬虫類「魚竜」が繁栄していました。
現在見つかっている最古の魚竜は、日本の宮城県で見つかった「ウタツサウルス(歌津のトカゲ)」です。
ウタツサウルスは見た目はすでに魚竜ですが、後の魚竜では完全に退化してしまう首の関節や骨盤がまだ残っているという、陸生動物の名残を持つ原始的な魚竜です。
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ウタツサウルス、なぜ海に戻った?最古の魚竜類
ウタツサウルス ウタツサウルスは、三畳紀前期の海にすんでいた魚竜類です。 日本の宮城県で見つかりました。 ウタツサウルス ...
恐竜現る。翼竜も哺乳類も現る。
三畳紀中ごろ、爬虫類のあるグループから「恐竜」と「翼竜」が現れた、と考えられていますが、祖先となった爬虫類は見つかっていません。
恐竜形類(きょうりゅうけいるい:恐竜類の祖先に一歩手前の爬虫類グループ)。 エオドロマエウス エオドロマエウスは、恐竜の祖先が現れてまもない時代のごく初期の恐竜で、最古の獣脚類のひとつです。 アル ...
恐竜類に分類するにはちょっと足りない、マラスクス(ラゴスクス)という爬虫類。
マラスクスが生きていた時代にはすでに恐竜がいたので、マラスクスは恐竜の祖先ではないよ。
こちらは恐竜類。現在見つかっている恐竜類でも最古のもの。
最古の獣脚類のひとつ、エオドロマエウス。
エオドロマエウス、恐竜出現からまもない頃の最古の獣脚類
最古の竜脚形類のひとつ、エオラプトル。 エオラプトル エオラプトルは、体長1.5mほどの二足歩行の恐竜です。 恐竜が現れてまもない時代の、ごく初期の恐竜で最古の ...
エオラプトル、最古の竜脚形類(竜脚形亜目)は二足歩行の小型恐竜

哺乳類がキノドン類から枝分かれする直前の単弓類、トリナクソドン。 トリナクソドン トリナクソドンは、中生代 三畳紀前期(2億5000万年ほど前)の南アフリカと南極にすんでいた単弓類です。 ...
トリナクソドン、哺乳類へ枝分かれするちょっと前の単弓類
三畳紀の終わり
三畳紀末期、中生代初の大量絶滅が起こります。
「三畳紀末の大量絶滅」と呼ばれ、生物グループ(属)の約45%(科単位では12%)が絶滅した、とされています。
大型爬虫類のクルロタルシ類、単弓類、大型両生類、海では二枚貝や無顎類(むがくるい:アゴの骨が無い魚)が数を減らし、激減しました。
「三畳紀末の大量絶滅」の原因はわかっていませんが、三畳紀後期には超大陸パンゲアが分裂を始めているので、大陸移動による大噴火が一因となって温暖化や内陸部の乾燥化が発生し、乾燥と高温に適応できなかった植物や生物が激減したのではないか、とされています。
いなくなった生物のニッチ(生態的スキマ)に進出したのが、恐竜類です。
恐竜類は他の生物と競合して勝ち残り、積極的にニッチ(生態的スキマ)を奪ってに進出した、と考えられていましたが、大量絶滅以降にボチボチ多様化したことがわかり、競合に勝った!というよりは、絶滅した生物の空いたニッチがあったから進出していった、と考えられるようになっています。
恐竜以外にニッチを埋める生物がいなかった、という説もあります。
恐竜類は急激に多様化し、大型化していきます。
三畳紀末、大型化を始めた恐竜
三畳紀末、恐竜はすでに体長10m近いものが現れています。最初に大型化したのは植物食恐竜です。
大型化のさきがけ、竜脚形類のプラテオサウルスは体長10mの植物食恐竜。 プラテオサウルス プラテオサウルスは、今から2億3700万年前(三畳紀後期)のヨーロッパにすんでいた植物食恐竜です。 成 ...
プラテオサウルス、三畳紀後期最大の植物食恐竜
竜脚形類は、大型化したことで天敵がいなくなり、大繁栄し、さらに大型化していきました。
植物食恐竜を獲物にしていた肉食恐竜も、少し遅れて大型化を始めます。
獣脚類のヘレラサウルス。体長4m。 ヘレラサウルス ヘレラサウルスは、恐竜の祖先が現れてまもない頃の原始的な獣脚類です。 学名が命名されたのは1963年で、 ...
ヘレラサウルス、大型化を始めた頃の原始的な肉食恐竜
大型化しなかった哺乳類
恐竜と同じ頃に現れた哺乳類は、大型化の方向に進化しませんでした。

恐竜が一足先に大型化したため、哺乳類には進出するニッチがなかった(出遅れた)、という説があります。
また、哺乳類がエサとしていた昆虫が小型化する方向に進化していったため、大型化する必要がなかった、という説があります。
約2億2500万年前の小さな哺乳類、アデロバシレウス。推定体長は最大で10cm。 アデロバシレウス アデロバシレウスは中生代 三畳紀後期の北アメリカにすんでいた哺乳形類です。 1.5cmほどの頭骨しか見 ...
アデロバシレウス、ウンコ化石の中から見つかった最古の哺乳形類
三畳紀の次の時代は、ジュラ紀です。ジュラシックパークのジュラはジュラ紀のジュラです。