古生代の生物

ダンクルオステウス、ギロチン歯の強面魚と板皮類

ダンクルオステウス

ダンクルオステウス(ダンクレオステウス)は古生代 デボン紀後期(約3億5900万年前)の海水魚です。

少し古い書籍や図鑑ではディニクチスとも呼ばれています。


ダンクルオステウス(ダンクレオステウス)
学名:Dunkleosteus sp.(ダンクルオステウスの一種)
分類:板皮綱 節頸目 ディニクチス上科 ディニクチス科
時代:古生代 デボン紀後期
体長:推定6~10m
発掘地:アメリカ、モロッコ、ベルギー、ポーランド
学名の意味:ダンクル(人名)の骨

古生代最大級の肉食魚

ダンクルオステウス(ダンクレオステウス)は、古生代 デボン紀後期(約3億5900万年前)の海にすんでいた魚です。

板皮類(ばんぴるい)という絶滅グループの仲間で、ダンクルオステウスは板皮類の中では最大種、古生代の魚類としても最大級の大きさです。

頭骨しか見つかっていませんが、推定体長は6m~10mです。

ヒトが食われるとしたらこれくらい。

見つかっていない部分の復元図の多くは、全身化石が見つかっている近縁種のコッコステウス(体長40cm)からの推測です。

ダンクルオステウスという学名は、発見者である古生物学者のダンクルさんの名前から。

ダンクルオステウス、とも、ダンクレオステウス、とも呼ばれ、少し古い図書や書籍ではディニクチス(恐ろしい魚)とも呼ばれます。

ダンクルオステウスのギロチン歯

ダンクルオステウスの頭骨。目も骨で覆われています。

矢印は後頭部にある関節。
ダンクルオステウスの含まれる節頸類(節頸目:けいせつもく)の仲間は、この関節で下アゴだけでなく上アゴも動かすことができたため、口を大きく開けることができました。

歯に見える部分は骨の板。歯ではありません。頭骨の一部が歯の役割をするために変形したものです。

同じ時代に歯を持った魚はすでに現れていたのでダンクルオステウスも歯を持っていてもよさそうなものを・・。

獲物を捕らえるというよりは、ギロチン刃の付いたアゴで獲物をぶった切るようにして襲っていたのでしょう。

ダンクルオステウスと同じ時代の魚は装甲を持ったりたくさんのトゲで武装したものが多いので、歯で捕らえてツルンと丸呑み、とは行かなかったのでしょう。

口の中やノドでトゲを立てられるとゴックンできないので、ギロチン刃で切ってから呑むような捕食方法が都合がよかったのかもしれません。

板皮類とは?

ダンクルオステウスの含まれる板皮類(板皮網)とは、古生代 シルル紀~デボン紀に繁栄しした原始的な魚類です。

アゴに骨を持ち、頭部と胸が骨でできた硬い甲羅で覆われているので、甲冑魚(かっちゅうぎょ)とも呼ばれます。

背骨が軟骨でできているので、化石には残りにくく、ダンクルオステウスは頭部しか見つかっていません。

イチイチ君
イチイチ君
板皮類は、アゴの骨を持たない原始的な魚「無顎類(むがくるい)」から進化したグループです。
サメの仲間は、無顎類か板皮類から進化したのではないか、とされています。

板皮類の出現時期は軟骨魚類(サメの仲間)よりも少し早いかほぼ同じですが、デボン紀末に絶滅しました。

板皮類の絶滅後・・

全ての板皮類はデボン紀末には絶滅しています。

絶滅した理由は分かっていませんが、板皮類より少し後に現れたサメの仲間に生存競争で負けたのではないか、という説があります。

サメは強力なアゴと、常に新品に生え変わる歯を持ち、柔軟に泳ぐことができるしなやかな体を持っています。
頭部が甲冑に覆われて動きの遅い板皮類を捕食することもできたでしょう。

板皮類の絶滅後、空いたニッチを引き継いだのはサメの仲間でした。


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