大量絶滅・ビッグファイブってなに?
大量絶滅、大絶滅、というと、恐竜や翼竜が絶滅した「白亜紀末の大量絶滅」が最も有名です。
実は、生命が地球に誕生してから40億年の間に大量絶滅は何度も起きています。
「絶滅」とは、生物が子孫を残すことなく死に絶えてしまうこと。
生物は絶滅したり新しいグループに枝分かれしながら進化しているので、絶滅自体は珍しいことではありません。
しかし、何らかの理由で、たくさんの生物がいちどに絶滅してしまうことがあります。
このような現象を大量絶滅とか大絶滅と呼びます。
特に絶滅の規模が大きいものは「ビッグファイブ」と呼ばれます。
大量絶滅が起こるのは、地球規模で大きな環境の変化が起こったためである、と考えられています。
もくじ
オルドビス紀末の大量絶滅(約4億4340万年前)
古生代 オルドビス紀末(約4億4340万年前)に起こった大量絶滅です。
絶滅した生物は、約12%、とされています。

オルドビス紀末の大量絶滅の原因ははっきりしていません。
暖かい海にすむ生物(サンゴ、三葉虫、腕足動物、海綿)などが激減していることから、大陸移動による寒冷化が原因という説が有力です。
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古生代オルドビス紀、無脊椎動物が多様化
古生代 オルドビス紀はどんな時代? 古生代の2番目に古い時代、約4億8540万年前~約4億4340万年前がオルドビス紀です。 オルドビス紀という名前の由来は、この地層が調査されたイギリスのウェールズ地 ...
デボン紀末の大量絶滅(約3億5890万年前)
古生代 デボン紀末(約3億5890万年前)に起こった大量絶滅です。
デボン紀末の大量絶滅の原因はわかっていません。
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古生代デボン紀、魚類が脊椎動物の頂点に立つ
古生代 デボン紀はどんな時代? 古生代の4番目に古い時代、約4億1920万年前~約3億5890万年前の約6030万年間がデボン紀です。 デボン紀の名前の由来は、イギリス南部のデボン州にデボン紀の地層が ...
絶滅した生物は、約14%、とされています。

ダンクルオステウスに代表される板皮類(ばんぴるい)がデボン紀末で絶滅しています。
サンゴ、筆石、海綿、三葉虫なども、激減(多くのグループが絶滅したものの数グループが生き残っている状態)しています。
甲冑魚(かっちゅうぎょ)とも呼ばれる板皮類の代表。ダンクルオステウス。
板皮類よりも原始的なアゴのない魚(無顎類:むがくるい)もデボン紀末に激減しましたが、絶滅することなく現在も生き残っています。
ヤツメウナギやスナヤツメが無顎類の子孫です。
ペルム紀末の大量絶滅(約2億5100万年前)
古生代 ペルム紀末(約2億5100万年前)に起こった大量絶滅は、史上最大規模の絶滅として有名です。
ペルム紀末の大量絶滅では、海と陸の両方でたくさんの生物が絶滅しています。
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古生代ペルム紀、単弓類の大繁栄と古生代の最後
古生代 ペルム紀はどんな時代? 古生代の最後の時代、約2億9829万年前~約2億5200万年前の約4629万年間がペルム紀です。 ペルム紀の名前の由来は、ペルム紀の地層が露出するロシアのウラル山脈にあ ...
ペルム紀末の大量絶滅では、約700万年の間をあけて少なくとも2回の大量絶滅が起こった、とされていて、
数万年という長い期間にわたる火山活動で激減した生物に、噴火による温暖化が追い討ちをかけたことが、海と陸での大量の生物が絶滅した原因ではないか、とされています。
絶滅した生物は、約52%で、海にすむ無脊椎動物だけを見ると約98%が絶滅したとされています。

ペルム紀末の大量絶滅では、三葉虫、フズリナ(有孔中の仲間)が全滅しています。
アンモナイト、貝類は激減し、陸上では単弓類(たんきゅうるい:哺乳類の祖先グループ)が激減しました。
デボン紀末の大量絶滅を生き残った三葉虫のグループの一つ、ファコプスの仲間はペルム紀末の大量絶滅で絶滅。
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ファコプス、最後の三葉虫と示準化石
ファコプス ファコプスは三葉虫の一種で、古生代 デボン紀(約4億1920万年前~約3億5890万年前)の浅い海にすんでいました。 ファコプス 学名:Phacops rana(ファコプス・ラナ) 分類: ...
ペルム紀末まで生き残っていたもう一つの三葉虫のグループ、イレヌスの仲間もペルム紀末に絶滅し、三葉虫は古生代ペルム紀末で全滅しました。
ペルム紀に多様化していた単弓類の多くも絶滅しました。単弓類エステメノスクス、ペルム紀末に絶滅。
三畳紀末の大量絶滅(約2億0100万年前)
中生代最初の大量絶滅が三畳紀末の大量絶滅(約2億0100万年前)です。
三畳紀末の大量絶滅の原因は、超大陸パンゲアの分裂に起因する大噴火ではないか、と言われています。
シベリアには三畳紀末にできたとされる巨大な地溝があり、大噴火によるものであることが証拠とされています。
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中生代三畳紀、哺乳類の祖先の衰退と爬虫類の繁栄が始まった時代
爬虫類の繁栄が始まった時代 三畳紀(さんじょうき)は中生代の最初の時代です。 今から約2億5200万年前~約2億0130万年前までの約5130万年間が三畳紀です。 三畳紀という名前の由来は、南ドイツに ...
三畳紀末の大量絶滅で絶滅した生物は、約12%。

古生代 ペルム紀末の大量絶滅を生き残って再び繁栄を始めた単弓類(哺乳類の祖先グループ)のうち、単弓類ディキノドン類が絶滅しています。
大型爬虫類のクルロタルシ類(ワニの祖先グループ)、大型両生類、アンモナイトや二枚貝などが激減しました。
三畳紀の単弓類、ディキノドン。ディキノドン類は三畳紀末に絶滅。

キノドン類は哺乳類の祖先となったグループで、キノドン類から三畳紀中頃に哺乳類が枝分かれした、とされています。
白亜紀末の大量絶滅(約6600万年前)
ビッグファイブの中で最も有名なのが、恐竜類が絶滅した白亜紀末の大量絶滅(約6600万年前)です。
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中生代で最も長かった白亜紀、恐竜の多様化と絶滅の時代
白亜紀ってどんな時代? 白亜紀は中生代の最後の時代で、今から約1億4500万年~約6600万年前までの約7900万年間です。 白亜紀という名前の由来は、フランスのこの時代の地層に白亜(チョーク)が多く ...
白亜紀末の大量絶滅では全生物の約11%が絶滅した、とされています。

白亜紀末の大量絶滅は、絶滅した生物の割合は少ないのですが絶滅のスピードが桁外れに速いのが特徴です。
海や陸上を問わず、大型の生物の絶滅が多いのも白亜紀末の大量絶滅の特徴です。
恐竜、翼竜など陸生の大型生物が絶滅、海にすむ首長竜、モササウルス類が絶滅、海の表層にすむ有孔虫とアンモナイトも絶滅しています。
単弓類から進化した哺乳類、恐竜類から進化した鳥類も、多くのグループが絶滅し、激減しています。
どのくらいの期間で恐竜類などが絶滅に至ったのかは、まったくわかっていませんが、地層の前後で生物層がまったく違うほどの入れ替わりがあったことが分かっています。
白亜紀末の大量絶滅の原因は、隕石衝突による地球規模の環境変化である、とされています。
メキシコのユカタン半島にあるチチュルブクレーターが白亜紀末期にできたものであること、
白亜紀と第三紀の境目の地層に、地表にはほとんど存在しないイリジウムという金属が大量に含まれていて、このイリジウムが隕石によってもたらされたものである、というのが隕石衝突説の根拠です。

白亜紀末の大量絶滅とはぜんぜん関係ないけど、福井県立恐竜博物館に展示されていた本物の隕石。
1800年代にアフリカに落ちた隕石で、大きさは60cmくらいです。
白亜紀末に衝突した隕石(小惑星)は直径10km~15kmと推定されていますから、直撃や周囲に生息していただけで全滅した生物も多かったでしょう。

当時北アメリカにすんでいた有袋類はオポッサムの仲間以外はすべて絶滅していて、隕石の被害をもっとも受けたであろう地域にすんでいながら、オポッサムの仲間だけがなぜ生き残ることができたのか、わかっていません。